テクニカルマイスター

商品、為替、株式相場を,ファンダメンタルズとテクニカルから思いつくままに分析。

【ECBが予想外の利下げ】
4日、欧州中央銀行(ECB)は、経済成長を持続させ、デフレを回避するために、3つの政策金利を全て引き下げた。短期金利の調節手段である短期買いオペの最低応札金利を0.05%に、中銀預金金利をマイナス0.2%に、限界貸出金利は0.3%に、すべて0.1ポイントずつ引き下げた。
これに加え、ドラギ総裁は少なくとも7000億ユーロ(約95兆3000億円)相当をユーロ圏経済に供給する方針を示唆した。利下げと民間部門の資産購入で、ユーロ圏のインフレ回復を目指すものの、今回の利下げで政策金利は下限に達したとも言明した。伝統的な政策手段は使い果たされ、非伝統的手法である資産担保証券(ABS)の購入計画(量的緩和策の導入)を発表した。


さて、8月22日に行われたジャクソンホールでの講演で、ドラギ総裁は、6月に発表した措置がユーロ安に支えられ、需要を押し上げると述べるたが、ECBとして追加策を講じる用意があると言明した。特に注目されたのは、ECBとして初めてインフレ期待の低下に言及したことだろう。

ドラギ総裁は、「インフレ期待が全期間にわたって大幅に低下している」と述べ、従来から主張していた「ユーロ圏のインフレ期待は日本とは違い安定している」という主張を覆した。しかも、このインフレに関する発言は、事前原稿にはなくアドリブで付け加えたという事で、相当な危機感を抱いていた事が伺い知れる。一連の発言も今から振り返れば、利下げを示唆していたものと受け止められる(後講釈だが)。

【ユーロドルが1.30ドルを割り込んで、金も下落だが・・・】
予想外の発表に、外国為替市場ではユーロの下落が強まり、対ドルでは2013年7月以来、1.300ドルを割り込んだ。ドル上昇により、ドル建て国際商品価格はほぼ全面安となった。

金相場に関しては、終値は前日比3.8ドル安の1265.50ドルだが、安値は1261.30ドルと前日3日の安値1261.90ドルを下回らなかった。アジア現物市場で買いが入っていた事から安値売りが警戒された可能性はある。また、本日5日、8月の米雇用統計が発表されるため買戻しが優先したのかもしれない。

チャート的には6月3日の安値1241.7ドルが次の下値として意識されるところだが、ここが維持されるならば下値切り上げパターンになる可能性がある。逆に、割り込めば昨年末12月31日の安値1185.0ドルを目安に下落基調が強まる可能性も出てくるだろう。

ただ、産金コストを考えると、1250 ドルを割り込む状況が長く続くとも思えない。トムソン・ロイターGFMS社が発表した「ゴールド・サーベイ 2014」によると、2013年の世界平均産金コスト(All-in Costs)は1620ドルとなり、前年(1272ドル)から大幅に上昇しているという。

一方、円相場もドルに対して下落しており、本日5日には105円70銭をつけ、年初来安値(1月2日につけた105円44銭)を更新した。円安が進行しているため、円建て金相場は4280円台と小幅安にとどまっており、依然として4300円を軸としたレンジ内で推移している。NY金相場の下落トレンドとは一線を画している。

日足の一目均衡表を見ると、NY金は雲の下側で推移しているが、東京金は雲の上側で推移しており、基調の違いがわかる。また、ここ1年の高値と安値にフィボナッチリトレースメントを当てはめると、NY金は高値から0.62倍押しのレベルに位置しているが、東京金は0.5倍(半値)押しのレベルに位置している。なお、NY金は高値1391.9ドル(2014年3月17日)、安値1185.0ドル(2013年12月31日)。東京金は高値4545円(2014年3月13日)、安値3975円(2013年12月20日)。

RSI(相対力指数14日)を見ると、東京金は50%レベルにあり、NY金は33.6%に低下している。また、NY金に関しては、昨年10月以降のパターンを見ると、RSIが30%を割り込むと底値が形成されて反発に転じている。4日時点のNY金のRSI=36.38%で、下値余地は残っている可能性があるが、反転するレベルに近づいている。今夜発表される8月米雇用統計で下落に転じた場合、従来のパターンが踏襲されるならば、反転する日が近づいているともいえるだろう。

*NY金
ny0905

*東京金
tky0905

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【9月4日海外相場および市況】
*NY金=1265.50ドル(-3.80)、NY銀=1913.80セント(-5.10)
*NY白金=1408.30ドル(-4.20)、NYパラジウム=891.00ドル(+15.05)
*WTI原油=94.45ドル(-1.09)、ブレント原油=101.83ドル(-0.94)
*シカゴコーン=346.50セント(-5.50)、シカゴ大豆=1003.25セント(-16.75)
*NYダウ=17069.58ドル(-8.70)、CRB指数=288.6282(-1.6723)
*NYドル円=105.365(+0.125)、NYユーロドル=1.2934(-0.0003)
*日本10年債=0.529(±0.00)、米10年債=2.451(+0.053)

*NY金は反落。欧州中央銀行(ECB)が予想外の追加利下げを発表、ドルが対ユーロで上昇し、ドル建て金の割高感が強まり反落した。ユーロは2013年7月以来、1.30ドルを割り込んだ。8月の全米雇用報告(ADP)民間就業者数や、米週間新規失業保険申請件数が市場予想よりも悪かったため、プラス圏に浮上する場面もあったが、8月の米ISM(供給管理協会)非製造業景況指数が市場予想を上回ったため、再びマイナス圏に沈んだ。

*金ETF「SPDRゴールド・シェア」現物保有量は、9月4日現在で前日比4.78トン減少の785.73トン、6月27日(785.02トン)以来、2カ月ぶりの低水準。「SPDRゴールド・シェア」の現物保有量は9月4日現在、7月末と比べ16.11トン減少。

*NY白金はECB利下げによるドル高に加え、金や原油の下落に連れて下落。パラジウムは欧米によるロシアに対する追加制裁が出されるとの思惑から3営業日ぶり反発。 

*NY原油は反落。欧州中央銀行(ECB)が予想外の追加利下げにより、ドルがユーロに対して上昇し、ドル建て原油相場の割高感が強まり、売られた。また、8月の全米雇用報告(ADP)民間就業者数が市場予想を大きく下回った事も弱材料。ただし、米エネルギー情報局(EIA)週間在庫統計は、ガソリン在庫が市場予想を上回る減少幅となった。受け渡し拠点のオクラホマ州クッシングの原油在庫も取り崩しが進んでいる。

*コーンは4営業日続落。米産地での豊作観測の根強さや対ユーロでのドル急伸を材料に売られた。ウクライナでの停戦期待により小麦が下落したことも圧迫要因となり、2010年6月下旬以来の安値水準へと下落した。 大豆は豊作観測に加え、欧州中央銀行(ECB)の予想外の利下げからドルが対ユーロで急伸したことも相場を圧迫。

*欧州中央銀行(ECB)は4日、経済成長を支え、デフレを回避するため市場予想に反して3つの政策金利を引き下げた。短期金利の調節手段である短期買いオペ(売り戻し条件付き債券買いオペ=レポ)の最低応札金利を0.05%に、中銀預金金利をマイナス0.2%に、限界貸出金利は0.3%に、それぞれ0.1ポイントずつ引き下げた。

*米サプライ管理協会(ISM)が4日発表した8月の米非製造業景況指数(NMI)は59.6となり、前月の58.7から上昇。市場予想の57.5も上回った。

*8月30日までの1週間の新規失業保険申請件数が季節調整済みで30万2000件で、前週比で4000件増加。市場予想の30万件を上回った。

*米ADP雇用統計(8月)は20万4000人増加。事前予想の22万人増加を下回った。
前月は21万2000人増と速報値の21万8000人増から下方修正された。


【本日の主な経済指標およびイベント】
NATOサミット(イギリス・ウェールズ)    
08:00 パウエルFRB理事、LIBORについて講演(ニューヨーク)    
09:15 フィッシャー・ダラス連銀総裁講演(ダラス)
18:00 欧州Q2GDP改定値(予想 前期比=±0.0%)
18:00 欧州Q2GDP改定値(予想 前年比=+0.7%)
21:30 米8月非農業部門雇用者数(前月比 前回=+20.9万人、予想=+22.5万人)
21:30 米8月民間部門雇用者数(前月比  前回=+19.8万人、予想=+20.9万人)
21:30 米8月失業率(前回=6.2%、予想=6.1%)

【国内市況終値】
*東京金=4287円(+6)、東京銀=64.8円(-0.1)、
*東京白金=4814円(-6)、東京パラジウム=2977円(-28)
*東京原油=66890円(+570)
*東京ガソリン=79790円(+210)、東京灯油=82050円(+290)
*東京コーン=24130円(-530)、東京大豆=49450円(-270)
*日経平均=15676.18円(-52.17)、東京ドル円=104.84円(+0.085)

*東京金は反発、白金は続落。前場の東京金は、3日のNY金相場がウクライナ情勢に対する先行き不透明感などを背景に反発したことから、強気買いが入った。しかし、4300円の上値抵抗線で跳ね返され、午後は反落に転じた。

今夜のECB政策理事会、米週間新規失業保険申請件数、明日5日には8月米雇用統計発表が控えているためポジション整理に上値が抑えられたようだ。

白金は続落。ロシアとウクライナの恒久的な停戦合意が伝えられたが、その後、恒久的ではないとの報道が出てリスク懸念が強まり、午前中は反発したが、今夜以降の重要イベントを控え4830円の上値抵抗線に達せず、午後は反落に転じた。円安が一服したことも弱材料となった。

*東京原油は反発。米経済指標が好調で需要増加期待から昨晩の海外原油相場が上昇したため、強気買い優勢となった。ガソリンと灯油も原油高に連れ反発。

*東京コーンは大幅続落。シカゴ相場が米国の豊作見通しを背景に下落したことを受けて、手じまい売りが膨らみCBが発動した。東京一般大豆はまちまち。

*東京株式市場は4営業日ぶりの反落。為替の円安・ドル高一服を受けた利益確定売りが優勢となり下落。

*日本銀行は3日、4日、政策委員会・金融政策決定会合行い4日声明を発表した。
「マネタリーベースが年間約60~70兆円に相当するペースで増加するよう金融政策を行う」と現状維持を決定した。

景気について「消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動がみられているが、基調的には緩やかな回復を続けている」として、情勢判断を据え置いた。
先行きについても「緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動の影響も次第に和らぐ」との見通しを維持した。

*米商品取引会社FCストーンは3日、2014/15年米産とうもろこしの生産高見通しを145.95億Bu、単収を174.1Buにそれぞれ上方修正した。
8月の米農務省予想の生産量140.32Bu、単収167.4Buをそれぞれ上回り、弱気売りが強まった。11日の米農務省の需給報告でも生産量の上方修正が見込まれるようだ。


【ドル円分析】

安倍首相は9月3日、内閣改造と党役員人事を行った。金融市場で特に注目されたのは、塩崎恭久氏の厚労相就任だろう。

塩崎氏は公的年金の改革推進論者であり、「120兆円の年金積立金の運用については、国債の運用に偏っていたものを(株式市場へ)分散投資する」と閣議後の記者会見で述べている。

安倍政権は、消費税10%に向けて何としても株価の上昇を維持させる必要がある。
そして、株価の上昇により円安基調がさらに強まる可能性が高い。

塩崎氏の就任が決まると、3日の日経平均株価は1万5,829円38銭と1か月ぶりの高値をつけ、ドル円相場は105円31銭と年初高値の105円44銭を試す展開となった。

ただ、4日にECB政策理事会、5日に8月米雇用統計発表が予定されているため、利益確定売りにドル円は105円を割り込んで推移している。

問題は、重要指標が発表された来週以降だろう。

8月雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比22.5万人増(前月は20.9万人増)、失業率は 6.2%から6.1%への低下が予想されている。

予想から大きく外れることがなければ、米国経済の一段の回復との見方からドル上昇となり、円安がさらに進行する可能性が高まりそうだ。

ここで、長期的な観点から週足をテクニカル的にドル円相場を考察してみる。
1月2日に105円44銭をつけた後は、反落に転じたものの100円を割り込むことはなく、100~105円のレンジを形成した。

一目均衡表を見ると、6月下旬から8月上旬にかけては軟調な展開だったが、雲にサポートされて上昇(円安)基調が崩れることはなかった。

8月下旬に陽線が立ち、週足は転換線、基準線、雲を上回り、転換線と基準線も雲を超えた。
遅行線は実体と上昇のクロスを示現しており、「三役好転」状態になり上昇基調が今後も継続すると見ていいだろう。

下段の26週スローストキャスティックスが、80%ラインを越えてきたことに注目したい。
アベノミクスが囃され、2012年11月から円安基調が強まったのは、まさしく、この26週スローストキャスティックスが80%を越えてからだった。
この時、2013年5月に103円73銭を付けている。

2013年11月に再び80%を超えてから円安基調が強まり105円44銭を付けるに至っている。

今回は3度目の上昇シグナルになるわけだが、年初高値の105円44銭を超えてからが本格的に円安基調が強まると予想する。

9月に入り各金融機関の今年後半の為替予想レンジが相次いで発表されているが、概ね110円を軸にした円安レンジが示されている。

単純なテクニカル分析でも、100~105円のレンジを上放れたため、レンジ幅5円を上方に倍返しして105+5=110円が上値の目安として算定される。

さて、このように円安トレンドが明確になる可能性が高い場合、投資の基本戦略としてはドル円の「押し目買い」になるだろう。

ただ、FX市場での日本の個人投資家(ミセスワタナベ)は、逆張り(高値売り・安値買い)を基本にしているという。

特に、今年は100~105円というわかりやすいレンジが形成されているため、なおさらその姿勢が強まりそうだ。

もちろん相場であるから、一直線に目標値を取りに行くわけではない。
しかし、105円44銭を超えて年初高値を更新した場合、上昇相場へのシグナルと捉え、トレンドフォロー基本にして押し目買いを考えた方がいいだろう。

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【9月3日海外相場および市況】
*NY金=1270.30ドル(+5.30)、NY銀=1918.90セント(+3.70)
*NY白金=1412.50ドル(3.60)、NYパラジウム=875.95ドル(-7.30)
*WTI原油=95.54ドル(+2.66)、ブレント原油=102.77ドル(+2.43)
*シカゴコーン=352.00セント(-11.75)、シカゴ大豆=1020.00セント(-19.25)
*NYダウ=17078.28ドル(10.72)、CRB指数=290.3005(+1.0173)
*NYドル円=104.865(+0.115)、NYユーロドル=1.3146(+0.0002)

*NY金は反発。ウクライナ大統領府がロシア首脳との電話会談で、同国東部の恒久的停戦について合意したとの声明を発表。地政学的リスクへが後退し、一時約2カ月半ぶりの安値1261.90ドルを付けたが、その後は、声明から「恒久的」との表現が削られたため、再び不透明感が強まって反発。高値は1272.40ドル。

*世界最大規模の金ETF「SPDRゴールド・シェア」現物保有量は、9月3日現在で前日比2.69トン減少の790.51トンと、6月27日(785.02トン)以来、2カ月ぶりの低水準。SPDRゴールド・シェアの現物保有量は9月3日現在、7月末と比べ11.33トン減少。

*NY白金も反発。ウクライナ大統領府の声明発表を受け、およそ5か月ぶりの安値1404.00ドルを付けたが、その後は金や原油の上昇に連れて反発に転じた。高値は1414.70ドル。

*NYパラジウムは買われ過ぎ感が強く利益確定売りに続落。

*WTI原油は急反発。ロシアとウクライナが停戦措置で基本合意したと発表したことを受け、市場のリスク回避姿勢が後退。2日に発表された8月ISMM製造業景況指数の上昇に続いて(前回=57.1、今回=59.0)、3日発表の7月の米製造業受注が10.5%と大幅な伸びを示し、米地区連銀経済報告(ベージュブック)で、「全地区で経済活動は拡大」とされたことから、
米景気回復の順調さが示唆されて原油の需要拡大観測が強まった。

*3日のシカゴ子コーンと大豆は共に反落。米産地の天候要因が引き続き相場を圧迫。前日引け後に米農務省から発表されたクロップ・プログレスで、作柄の改善が示されたことや、米農業調査会社FCストーンが生産高見通しを引き上げたことも弱材料視された。


【本日の主な経済指標およびイベント】
10:30 豪州7月貿易収支(予想=-17.50億豪ドル)

20:00 英国英中銀MPC政策金利発表(現行=0.50%、予想=0.50%)

20:45 欧州ECB政策金利発表(現行=0.25%、予想=0.150%)

20:45 ECB預金ファシリティ金利(現行=-0.100%、予想=-0.100%)

20:45 ECB限界貸付ファシリティ金利(現行=0.400%、予想=0.400%)

21:15 8月ADP雇用統計(前月=+21.8万人、予想=+22.0万人)

21:30 新規失業保険申請件数(前回=+29.8万件、予想=+30.0万件)

23:00 米国7月ISM非製造業景況指数(予想=57.6)

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