テクニカルマイスター

商品、為替、株式相場を,ファンダメンタルズとテクニカルから思いつくままに分析。

6月12日(水)
【6月11日の海外相場および市況】
ny0611

*11日のNY外国為替市場のドル円相場は、108円台半ばで小動き。108円47〜57銭。中国政府がインフラ投資の資金調達を支援する方針を示すなど景気刺激策を明らかにしたことで、アジアや欧州の株価が上昇し、ドル円も一時108円80銭近辺まで上伸した。しかし、上伸したNYダウが下げに転じると、米長期金利も小幅に下落し、ドル売りが優勢となった。来週開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)や、月内の20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて開かれるとみられる米中首脳会談を控えて様子見も広がったようだ。5月米卸売物価指数(PPI)は季節調整後で前月比0.1%上昇、エネルギーと食料品を除いたコア指数は0.2%上昇した。前年同月比では全体が1.8%上昇、コアは2.3%上昇した。いずれも市場予想と一致したため、相場の反応は限定的だった。

*11日のNY金は小幅反発。1331.20ドル(+1.90)。トランプ政権は前週末、メキシコと不法移民対策で合意したとして、10日から予定していたメキシコ産品への制裁関税発動を「無期限に見送る」と表明。加えて、対中追加関税「第4弾」の発動も棚上げにする可能性があるとの楽観的な見方も一部で浮上したことから、安全資産とされる金には売り圧力がかかった。これに利益確定売りも加わって一時1323.60ドルまで下落した。ただ、売り一巡後は買い戻しが活発になり、わずかにプラス圏を回復。米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利下げ観測の高まりにより、金利を生まない資産である金にはサポート要因となった。

NY白金は反発。814.30ドル(+9.10)。
パラジウムは4日続伸。1389.20ドル(+2.40)。

*11日のNY原油は、石油輸出国機構(OPEC)主導の協調減産延長への期待が下値を支える一方、世界的なエネルギー需要の先細り懸念が相場の重しとなり、ほぼ横ばいとなった。53.27ドル(+0.01)。ロシアのノバク・エネルギー相は10日、原油価格が過剰生産により急落するリスクがあると表明。OPEC加盟・非加盟国が6月下旬もしくは7月初旬に開く会合ではロシアも7月以降の協調減産延長を支持する可能性を示唆した。また、世界の主要株価がほぼ全面高となり、株と並んでリスク資産とされる原油の買いも強まった。ただ、米エネルギー情報局(EIA)はこの日発表の月報で、2019年の世界の原油需要見通しについて伸びが日量平均120万バレルにとどまるとし、前月時点から20万バレル下方修正。米中貿易摩擦の激化が世界のエネルギー需要に悪影響を与えるのではないかとの懸念が根強く、徐々に上げ幅を縮小する展開となった。また、NYダウが反落に転じたことも原油売りを促した。

北海ブレント原油は、変わらずの62.29ドル。

引け後に発表された米石油協会(API)の原油在庫統計によると、米原油在庫は7日までの1週間で、予想外の490万バレル増となった。

*11日のシカゴトウモロコシは1週間ぶりの高値に上昇。427.75セント(+12.00)。米農務省がこの日発表した6月の需給報告で、単収見通しを5月より10ブッシェル(5.7%)少ない166ブッシェルに下方修正した。市場予想は172.4ブッシェル。米農務省は「6月上旬に見られた異例の作付け遅れで、今後の作付けの一部が阻まれ、単収見通しが低くなる」との見方を示した。例年、トウモロコシの作付けはこの時期に完了しているが、農務省の10日の報告によると作付け進捗率は83%だった。

シカゴ大豆は続伸。859.25セント(+0.75)。トウモロコシ相場の上伸に追随した。米農務省は、この日発表した6月の需給報告で、米国産トウモロコシの単収予測を下方修正し、トウモロコシは1週間ぶりの高値を付けた。最近の降雨で、一部でトウモロコシの作付けが遅れている。天候が改善すれば、大豆の作付けに移行する可能性があり、大豆の供給が増加することになる。米農務省は、2019〜20年度の大豆の生産高と単収は据え置いた。


*11日のNYダウは、前日までの6営業日続伸を受けた利益確定の動きに押され、小反落した。2万6048.51ドル(-14.17)。この日は中国による新たな景気刺激の動きが好感された。中国国営メディアは、中国国務院(内閣)が地方政府に対し、特別債で調達した資金をインフラ投資などに充てるよう求めたと報道。メキシコ関税の発動見送りや、米利下げ期待もあって一時180ドル超上昇した。ただ、上値では利益確定売りが出て軟調に転じた。米中貿易摩擦の長期化懸念が引き続き重石。28、29日に大阪市で開催される20カ国・地域(G20)首脳会議のタイミングに合わせた米中首脳会談は、開催自体が依然不安視されている。トランプ大統領はこの日、貿易協議が暗礁に乗り上げたのは中国が合意を覆したためだと改めて非難し、「良い内容でなければ合意しない」と主張。同時に、G20開催に合わせた首脳会談実現にも期待を表明した。


【12日の経済指標】
08:50   (日) 5月 国内企業物価指数 [前年同月比]  1.2%
08:50   (日) 4月 機械受注 [前年同月比]  -0.7% 
09:30   (豪) 6月 ウエストパック消費者信頼感指数  101.3 ― 
10:30   (中) 5月 消費者物価指数(CPI) [前年同月比]  2.5%  2.7% 
10:30   (中) 5月 生産者物価指数(PPI) [前年同月比]  0.9%  0.6% 
17:15   (欧) ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁発言
19:00   (南ア) 4-6月期 四半期 南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数  28 
20:00   (トルコ) トルコ中銀、政策金利  24.00%   
20:00   (米) MBA住宅ローン申請指数 [前週比] 
20:00   (南ア) 4月 小売売上高 [前年同月比]  0.2% 
21:30   (米) 5月 消費者物価指数(CPI) [前年同月比]  2.0%  1.9%  
21:30   (米) 5月 消費者物価指数(CPIコア指数) [前年同月比]  2.1%  2.1% 



第213回 『おしえて陳さん』 
http://www.sunward-t.co.jp/movies/oshiete/


*マーケットスクランブル出演
https://www.mkt-s.com/past_video/


*TOCOM TV 出演
https://youtu.be/LckFpKGtS74

https://tocomsquaretv.com/20190325/


【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は、アメリカによる関税問題で大幅に下落する場面があったが、週末には買い戻されて変わらずとなった。トランプ大統領は5月30日、メキシコ国境からの不法移民流入に同国が十分に対応していないとし、6月10日以降メキシコからの輸入品すべてに5%の関税を課し、移民の流入が止まるまで関税率を段階的に引き上げると表明した。メキシコ政府はワシントンに代表団を送り、3日から関税回避に向けて閣僚同士の会合など本格的な交渉を始めた。エブラルド外相は関税を回避することで「米政府と合意できる」と自信を見せた。マルケス経済相は「関税は北米3カ国の経済統合による競争力を弱体化させるものだ」と批判した。トランプ米大統領は4日、メキシコからの輸入品すべてに5%の関税を10日から課す計画について「関税をかける可能性が高い」と述べ、実施に改めて意欲を示した。

これに対しメキシコのロペスオブラドール大統領は4日「10日の発動までに、米政府と関税回避で合意できると確信している」と話した。6日、移民問題の解決策としてメキシコが中米グアテマラとの国境に6千人の部隊を派遣する案を提示した。メキシコ国内を通過して米国へ向かう不法移民を国境で阻止することで、10日に予定される関税発動を回避したい考えだが、市場の警戒感は弱まらなかった。格付け会社フィッチ・レーティングスは、メキシコの格付けを「BBB」に引き下げた。また、ムーディーズはメキシコの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。フィッチは格下げについて、国営石油会社ペメックスの経営悪化が同国の見通しに悪影響をもたらしていると指摘した。

*今週のメキシコペソ円は、アメリカからの関税回避を受けて堅調に推移しそうだ。ただ、格下げの影響から上値は限定的か。トランプ大統領は7日、メキシコとの3日間にわたる協議の末、移民問題をめぐって両国は合意に至ったとし、10日から予定されていた対メキシコ関税の発動を「無期延期する」と述べた。トランプ大統領はツイッターで、「メキシコはその代わりに、同国内を通過し、米国南部の国境に移民が流入するのを阻止するために強硬策を取ることで合意した。この策は、メキシコから米国に流れて来る不法移民を大幅に減少、もしくは完全になくすために実施される」と主張した。米国務省で行われた両国の協議で米国は、中米移民に対して厳しく取り締まるようメキシコに要求し、難民認定申請を同国内で受理するよう同意を求めた。これを受けて週明け10日のペソ円は急反発した。

今回の合意事項に関しては、両国で意見の食い違う面もある。トランプ大統領が、米国産農産物をメキシコが「大規模」に購入することで合意したとツイートしたが、発表された関税発動見送りの合意にはそうした農業貿易の取り決めは盛り込まれておらず、メキシコの当局者3人も付帯合意は一切承知していないという。米国務省が7日遅く発表した「米国メキシコ共同宣言」には合意の一環として農産物貿易への言及はないという。5日、格付け大手のフィッチ・レーティングスは、メキシコ国債を格下げした。国有石油会社の債務増加は同国の財政リスク増大を示すと指摘した。フィッチはメキシコの外貨・自国通貨建て長期発行体デフォルト格付け (IDR)を従来の「BBB+」から「BBB」へと引き下げた。BBBは投資適格級の下から2番目。

またフィッチの発表の少し前に米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスはメキシコの格付け見通しを「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ(弱含み)」に変更した。「予想不可能」な政策決定が投資家の信頼感と経済の見通しを損ねているとの懸念を理由に挙げた。ムーディーズがメキシコに付与している格付けは「A3」。 ムーディーズは発表資料で、成長減速に加え、エネルギー政策とメキシコ石油公社(ペメックス)の役割が変わったことで中期的な国家財政見通しへのリスクが生じていると説明した。メキシコは石油生産の落ち込みや消費鈍化により、今年の国内総生産(GDP)成長率見通しが下方修正されている。

【メキシコ経済指標】
11日火曜日
22:00 鉱工業生産前年比前回-0.1%、予想0.2%

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*予想レンジ:5.55円~5.75円

情報提供:㈱ミンカブジインフォノイド
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【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は4~6ひまで、トルコ市場が休場だったため小動きだった。週末はドルの下落を受けて堅調に推移した。3日に発表された経済指標は、5月製造業PMIが45.3(前回46.8)と前回より悪化していた。注目された5月消費者物価指数(CPI)は前年比18.7%と前回+19.50%、予想+19.25%のいずれも下回った。5月生産者物価指数(PPI)は前年比28.7%と前回+30.12%を下回った。いずれの指標からもインフレ率の低下が確認された。これを受けて、アルバイラク財務大臣は、政府が目標としている2019年末のインフレ率15.9%を達成できるだろうとの見解を示した。また、インフレ指標の低下から、トルコ中銀が利下げするとの思惑も出た。

*今週のトルコリラ円は、再び上値が重くなりそうだ。インフレ率の低下は市場に好感されているが、12日のトルコ中銀理事会では、政策金利の据え置きが予想されている。最大都市イスタンブール市長選は、6月23日に再選挙実施が決定している。敗北結果の受け入れを拒否するエルドアン政権の与党・公正発展党(AKP)の圧力に屈した異例の決定であり、トルコの民主主義や統治機構への信頼が損なわれている。再選挙を巡ってトルコ国内が混乱する可能性があり、不安定な政情が続きそうだ。6月下旬の大阪G20サミットで、トランプ大統領とエルドアン大統領が会談することは決定されたが、ロシア製の最新地対空ミサイルシステム「S400」購入問題を巡って米国とトルコの対立が強まっている。

シャナハン米国防長官代行は7日、ロシア製の地対空ミサイルシステム「S400」を導入する方針のトルコに対し、トルコと北大西洋条約機構(NATO)の関係に亀裂が走りかねないと警告した上で、米国の最新鋭ステルス戦闘機「F35」関連計画からトルコを除外する方針を表明した。長官代行はトルコ側に宛てた書簡の中で、当初年内に予定していた34人のトルコ人パイロットを対象としたF35の訓練を取りやめるとした上で、「トルコに対するF35の技能修練要件はなくなった」と述べた。同時にトルコはまだS400に関する方針を変更できるとして導入見送りを促した。一方、格付け会社S&Pグローバル・レーティングは6日、トルコの通貨リラは根本的に過小評価されており、同国の輸出セクターを引き続き支援していくとの見解を表明した。


【トルコ経済指標】
12日水曜日
20:00トルコ中銀政策金利前回24.00% 予想24.00%

14日金曜日
16:004月経常収支前回-5.9億USD 予想-14.5億USD

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*予想レンジ:18.00円~19.00円


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【南アランド円相場、先週の動き・今週の予想】
*先週の南アランド円は下落した。4日に発表された南アフリカ国内総生産(GDP)は前期比年率3.2%減と、市場予想の1.7%減を大幅に下回った。GDPP低下を防ぐため、南アフリカ準備銀行(SARB、南ア中銀)が利下げを行う可能性が浮上したため、南アランドは売りが優勢となった。その後も南アランドは続落し、1週間ぶりの安値を更新した。

与党・アフリカ民族会議(ANC)のマガシュル事務総長が、南アフリカ準備銀行(SARB、南ア中銀)に対し、目標を物価安定だけでなく、失業率を改善することなども目標にいれさせたいと述べたことが嫌気された。ムボウェニ財務相は、中銀の責務を変える予定はないと説明。南アフリカ中銀クガニャゴ総裁は、中銀の使命は物価安定であると反論した。ANCは、雇用拡大を責務に盛り込む要求撤回を拒んだ。6日に発表された第1四半期の同国経常赤字の対国内総生産(GDP)比は2.9%となり、昨年第4四半期の2.2%から上昇した。

*今週の南アランド円は、下げ過ぎ感から買戻しが優勢となりそうだ。ただ、戻り幅は限定的だろう。南アフリカの通貨ランドが対ドルで安値圏で推移している。5月29日には一時、1ドル=14.89ランドとなり、ドル高・ランド安が進んだ。南アフリカの主要産品である金の価格下落や国営電力会社の財務懸念から、ランドに売り圧力がかかっていた。5月下旬からランド安が進んだが、これは政治と経済両面の要因があった。5月25日に2期目を開始したラマポーザ大統領の組閣が遅れたことが、まずは嫌気された。市場では省庁再編や電力事業の立て直しに指導力を発揮できるか疑問視された。

次に、南アフリカ準備銀行(SARB、南ア中銀)は5月23日に開いた会合で政策金利を据え置くことを決めた。足元の景気が弱含みとの判断から利下げに賛成する票もあった。中銀が景気に対して慎重な見方を示したことが重石になった。そして、6月4日に発表された1~3月期実質国内総生産(GDP)は前期比年率で-3.2%だった。国営電力会社エスコムによる計画停電が、製造業の生産に打撃をもたらした。市場予想の-1.6%を大幅に下回り、過去10年の四半期ベースで最大の落ち込みとなった。成長率がマイナスに転じるのは2018年4~6月期以来で3四半期ぶり。GDP全体のおよそ14%を占める製造業が8.8%のマイナスとなったほか、ダイヤモンドや鉄鋼、石炭などの鉱業も-10.8%と大幅に落ち込んだ。GDPは前年同期比では横ばいだった。

かつてアフリカを代表する優良企業とされたエスコムはズマ前政権時代に縁故主義が広がり、有能な社員や幹部が次々と退社した。ずさんな発電計画から十分な供給能力を確保できず、家庭だけでなく産業向けでも計画停電に追い込まれた。エスコムは借り入れや債券の発行で負債が膨らみ、政府による再建計画の策定や実行が難しくなっている。経済への打撃が予想以上に広がり、改革が急務であるものの困難との認識が広がっている。さらに、与党のアフリカ民族会議(ANC)が南アフリカ準備銀行(中央銀行)の責務に物価のほか、雇用と成長も含めることで合意したと伝わったことも市場に嫌気されている。市場ではこうした責務の拡大で中銀の独立性が損なわれる恐れがあるとの見方が広まった。国際通貨基金(IMF)は、経営危機の国営電力会社エスコムがラマポーザ大統領が約束した改革にとって主たる脅威として、成長へのリスクを警告した。


【南アフリカ経済指標】
11日火曜日
20:00 4月製造業生産前年比前回+1.2% 予想+1.2%

12日水曜日
20:00 4月小売売上高前年比前回+0.2% 予想+1.2%

13日木曜日
19:00 第2四半期BER企業信頼感前回+28 予想+27


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*予想レンジ:7.15円~7.35円


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【ドル円相場、今週の予想】
*今週のドル円は、戻り売りが優勢となりそうだ。週明け10日の東京外国為替市場のドル円相場は、ややドルが買われ108円台半ばで堅調に推移した。先週末発表された5月米雇用統計は、景気動向を示す非農業部門就業者数が前月比7万5000人増にとどまり、4月の22万4000人増(改定)から伸びが急減速し、市場予想の18万5000人増も大きく下回った。また、物価上昇の先行指標として注目される平均時給も前年同月比3.1%増と市場予想(3.2%増)に届かなかった。市場では米連邦準備制度理事会(FRB)が景気を下支えするため、近く利下げに踏み切るのではないかとの観測が一段と強まり、米長期金利の低下を受けてドル売りが先行したが、将来の利下げを好感してNYダウが反発すると、米長期金利の低下に歯止めがかかり、ドルも反発した。

トランプ大統領は7日、メキシコとの3日間にわたる協議の末、移民問題をめぐって両国は合意に至ったとし、10日から予定されていた対メキシコ関税の発動を「無期延期する」と述べた。これもNYダウを押し上げドル買いが継続した。日経平均株価も200円を越す上昇を見せ、先週の悲観的な雰囲気から脱している。麻生太郎財務相とムニューシン財務長官が9日、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕を前に意見交換したが、その際に、日本の円安誘導を防ぐため米国が導入を目指している「為替条項」に関する議論はなかったという。これも市場に安心感を与えている。

しかし、先週は米連邦準備制度理事会(FRB)高官が相次いで利下げ発言をしており、市場では、早ければ今月18、19日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが実施されるとの見方も出ている。利下げにより株価は押し上げられるだろうが、世界経済の減速懸念は強く、ドル買いにも限界があろう。世界銀行は2019年の世界の経済成長予想を2.6%に下方修正した。今年1月時点は2.9%だった。20年は2.7%に加速する見通し。

今年の米国と中国の成長予想を据え置いた。米国の成長率は今年2.5%に鈍化した後、20年に1.7%にさらに減速するとみている。また、米中通商協議も難航し長期化が懸念されている。今月28、29日に大阪で開催されるG20サミットでトランプ大統領と習近平国家主席との会談が行われる可能性はあるが、仮に会談しても両国が妥結する可能性はほとんどないようだ。トランプ大統領は中国からの輸入品3250億ドル(約35兆2000億円)相当に追加関税を課す方針に関して、G20後に決断する考えを示した。一方、中国も米国との貿易戦争は長期化する覚悟を国内で示し、レアアース(希土類)の輸出規制案を綿密に精査しているという。米国は8割を中国から輸入している。長期的に見ると、ドル上昇には限界があろう。

米金融大手ゴールドマン・サックス・グループによると、世界的な貿易摩擦を受けて国境を越えた直接投資活動の減速に拍車が掛かった場合、円とスイス・フランが恩恵を受ける可能性があるとした。日本とスイスは世界最大の対外直接投資(FDI)の供給源であるため、それが冷え込めば両国からの資金流出を妨げ、両国の通貨を押し上げる可能性があると分析した。

<今週の主な経済指標>
11日火曜日
21:30米国5月生産者物価指数

12日水曜日
21:30米国5月消費者物価指数

14日金曜日
23:00米国6月ミシガン大学消費者信頼感指数

*CFTC建玉6月4日時点:ファンドのドル買い・円売りは4万4389枚(前週比-1万1188枚)と減少した。総取組高は16万7810枚と前週比1980枚の減少。


yen0610

*予想レンジ:107.00円~110.00円


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