テクニカルマイスター

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【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は上昇した。ロペスオブラドール新政権は15日までに予算案を公表する見通しで、市場の様子見が強まる中、前政権が発行した新空港建設の債権を、政府が買い戻すことを発表したことが好感され、メキシコペソ円は買われた。

また、オブラドール大統領が石油会社ペメックスに資金を750億ペソ増加させると発表した。ペメックスはメキシコ国営会社だが、経営難からメキシコ経済の重荷になっていた。オブラドール大統領はこの会社を建て直し、最終的には自前でガソリンを精製して、米国からガソリン輸入を削減することを目標にしているようだ。格付け会社はこのペメックスの増資が予算にどう組み込まれるか注目している。


*今週のメキシコペソ円は、上昇しそうだ。週明け17日のメキシコペソ円は、15日に提出された予算案が好感されて上放れて上昇した。メキシコ新政権は15日、初年度となる2019年の予算案を議会に提出した。歳入見通しを18年予算比で6.3%増とする一方で、歳出額は同6.1%増に抑えるとした。基礎的財政収支(プライマリーバランス)は国内総生産(GDP)比で1%の黒字を達成できる見通しとしている。予算案では前提となる19年の経済指標の見通しに関してはGDPが1.5~2.5%成長すると見込んだ。中間値は2.0%となり、メキシコ銀行(中央銀行)が14日に発表した民間機関による予想の中央値である1.80%よりもやや強めの予想となっている。

市場ではロペスオブラドール新大統領によるばらまき的な政策で財政規律が緩むのではないかとの懸念があるが、予算案を提出したウルスア財務相は「財政規律の維持を第一に考慮した予算案だ」と話した。議会では与党が優勢で予算案は年内に承認される見通し。

また、20日のメキシコ中銀理事会では、インフレを背景に利上げ(8.00% ⇒ 8.25%)が予想されている。メキシコ銀行は11月15日に行われた金融政策決定会合で、今年に3回目の利上げを実施し、政策金利を8.0%とした。利上げは、今年2月と6月以来で、利上げ幅は合計で0.75%となった。政策金利が8%台になるのは2009年1月以来。インフレ率は年初では6.8%だったが、6月には4.5%まで低下したが、ここ最近では緩やかに上昇し、10月は4.9%となった。中銀は声明で今後、エネルギー関連コストの上昇とメキシコペソ安により、インフレ率を押し上げるリスクが高まったとして、ペソ安防止の対策も含めて利上げを行ったとした。

加えて、ペソ安の一因として、メキシコシティ新空港の建設をロペス・オブラドール次期大統領が10月に中止したことを挙げた。中銀は新政権の政策運営がインフレを押し上げる恐れがあると指摘しており、新政権発足後も追加利上げを行う可能性を示唆した。

【メキシコ経済指標】
19日水曜日
23:00 第3四半期個人消費前年比前回3%

20日木曜日
28:00メキシコ中銀政策金利前回8.00%、予想8.25%

21日金曜日
23:0012月消費者物価指数前年比前回4.56%

peso1217

*予想レンジ:5.50円~5.80円


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【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は下落した。第3四半期国内総生産(GDP)は前年比1.6%増加で、市場予想(2.0%増)を下回った。通貨リラ安やインフレ高進が打撃となり、軍の一部によるクーデター未遂事件に揺れていた2016年第3四半期以来の低成長となった。季節・日数調整後の前期比では1.1%増加だった。第2四半期GDPは前年比5.3%増と、前回発表の5.2%増から改定された。

一方、10月のトルコ経常収支は27.7億ドルの黒字だった。黒字は3カ月連続。トルコ中央銀行は13日、金融政策決定会合を開き、主要な政策金利である1週間物レポ金利を年24%で据え置いた。通貨リラが今夏の急落前の水準まで回復。11月のインフレ率が低下に転じたことで、通貨防衛を目的とする追加利上げは不要と判断した。

*今週のトルコリラ円は、保ち合いが続きそうだ。今年8月にはトルコリラショックが起こり、世界の金融市場を騒がせる事態になった。通貨リラの急落を受けてインフレ率が急上昇し、トルコ中銀は9月の会合で大幅な利上げ(17.25%⇒24.00%)を決定した。第3四半期には成長失速が始まり、リラ安やインフレ高進に伴う投資や個人消費の鈍化に加え金融引き締めの影響で第4四半期はマイナス成長に転じると予想されている。

トルコ中央銀行は13日の会合で、政策金利を年24%で据え置いた。通貨リラが今夏の急落前の水準まで回復。11月のインフレ率が低下に転じたことで、通貨防衛を目的とする追加利上げは不要と判断した。声明では、これまで使われていた”decisively”(断固として)という単語が削除された。
前回声明:「インフレに対して、断固として(decisively)必要なら更なる引き締めを行なう」
今回声明:「インフレに対して、必要なら更なる引き締めを行なう」

これに関連して、トルコのアルバイラク財務相は15日、トルコは通貨リラの上昇と国内経済の構造改革が必要だとの考えを示した。同財務相は「リラ高が必要なだけではない」と述べ、経済には構造改革が必要だと付け加えた。


エルドアン大統領は、隣国のシリア北部を実効支配するクルド人勢力をテロ組織と見なし、数日以内に国境を越えた軍事作戦の範囲を拡大すると表明した。ただ、クルド人勢力はアメリカ軍の支援を受けているため、作戦が拡大されれば、アメリカとトルコの間で緊張が高まりそうで、地政学リスクが懸念されるところ。

また、トルコのチャブシオール外相は16日、エルドアン政権が2016年のクーデター未遂事件の「首謀者」と断じるトルコの在米イスラム教指導者ギュレン師について、トランプ大統領がトルコへの引き渡しを「検討している」と述べたと明らかにした。ただ真偽は不明。


【トルコ経済指標】
17日月曜日
16:00 10月鉱工業生産前年比前回-2.7%
16:00 9月失業率前回11.1% 予想11.6%

18日火曜日
16:00 10月小売販売前年比前回-3.4%
20:30 10月住宅価格指数前年比前回+10.48%

20日木曜日
16:00 11月住宅販売前年比前回+19.2%

21日金曜日
16:00 12月消費者信頼感指数前回59.6


lira1217

*予想レンジ:20.00円~22.00円


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【南アランド円相場、先週の動き・今週の予想】
*先週の南アランド円は、上下に動いたが、結局下落して引けた。11日に発表された10月製造業生産は予想を上回り、2016年6月以来の高水準となった。また、格付け会社S&P社が南アフリカの国営電力会社ESKOMの格付けをジャンクのまま据え置きと発表した。12日に発表された11月消費者物価指数(CPI)は前年比+5.2%と前回+ 5.1%、予想+ 5.1%をいずれも上回った。一方、米11月消費者物価指数(CPI)が前月から横ばいとなり、米利上げ回数が想定より少なくなるとの見方が広がりドルが下落し、ランドが押し上げられた。13日に発表された11月生産者物価指数(PPI)は前年比+6.8%、前回+6.9%、予想+6.8%だった。

*今週の南アランド円は上値の重い展開が続きそうだ。SARBは11月の会合で、長期的なインフレ見通しへのリスクが高まっているとして、0.25%の利上げを決定し、政策金利を6.50%から6.75%に引き上げた。利上げは2016年3月以来、2年8カ月ぶりだった。先週発表された11月消費者物価指数(CPI)は前年比+5.2%と、市場予想の+5.1%を上回り、10月の+5.1%から上昇率がやや加速。2017年5月以来の強い伸びとなった。南アフリカ準備銀行(SARB、南ア中銀)が目標とするインフレ率(3.0~6.0%)に収まったものの、中央値の4.5%から離れていた。そのため、追加利上げも予想されているが、11月生産者物価指数(PPI)が前年比+6.8%、前回+6.9%、予想+6.8%と伸び悩んでいたことから、利上げサイクルには至らないとの見方が広がっている。

追加利上げを行えば、低迷する南アフリカ景気をさらに落ち込ませる可能性が強い。南アフリカ経済は2018年7-9月期にプラス成長(前期比年率+2.2%)だったものの、その前の2四半期(1-3月期、4-6月期)はいずれもマイナス成長だった。市場は、来年5月まで金利の引き上げは行われないと予想しているようだ。今週は18、19日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。米連邦準備制度理事会(FRB)は今年4回目の利上げを決定する見込みだが、声明で来年の利上げに関して、ハト派的な姿勢を示唆すればドルが軟化すると見られている。そうなった場合、新興国通貨は買い戻され反発に転じよう。

【南アフリカ経済指標】
18日火曜日
16:00 10月景気先行指数前回104.7

21日金曜日
21:00 11月財政収支前回-327億ZAR

zar1217

*予想レンジ:7.70円~8.00円


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【ドル円相場、今週の展望】
*今週のドル円は、19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定に向けて底堅く推移しようが、週後半はFOMCの声明に影響される展開になろう。週明け17日の東京市場は、1136円台半ば付近で底堅く推移している。米中貿易協議が進展するとの期待感からじり高に推移している。

中国政府は、トランプ米政権が対中貿易戦争で標的としていた中国の国家産業戦略『中国製造2025』の達成時期を10年延期して2035年を目処とする可能性、米国から農産物を大量に購入し始めていること、米国製自動車関税を40%から15%へ引き下げる可能性と報じられている。市場は、19日の会合で今年4回目の利上げを決定する可能性が高いと予想している。政策金利は2.25%から2.50%に引き上げられる見込み。

そのため、声明で、2019年の利上げペースについてどのような文言になるかが注目されている。米中貿易戦争の長期化やNYダウが調整局面に入ったと見られることから、米国経済のリスクが増しており、2019年中に利上げ回数は当初の見込みより減少し、場合によっては利上げ自体が止められる可能性が出ている。

11月のFOMC議事要旨では、四半期おきの機械的な利上げを止める可能性が示唆されていた。数人の参加者から「中立水準を超えて政策金利を引き上げれば、景気を過度に冷やすことになる」との声も出た。さらに11月末には米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が講演で、中立金利水準(2.50%-3.50%)までの距離に関して、以前は中心レート3.00%に着目して「かなり遠い」とタカ派的な見解を示していたが、この日は「わずかに下回る」とハト派的な見解を示した。複数のFRB高官も「中立金利」に言及し、市場は、FRBのハト派的姿勢に警戒し始めた。

12月になってからは、NYダウの地合いが悪化し、米5年債利回りが米2年債利回りを下回る「逆イールド」現象も出現し、米景気の減速懸念が強まった。そのため、市場では今後の米国の利上げ回数の予測が減っている。FRBは19年に3回の利上げを想定していたが、市場では2回の見込みから最近では1回や0回との見通しが強まっている。

今回のFOMC声明文の内容やパウエルFRB議長の記者会見での発言によっては、利上げの早期停止を巡る思惑が強まる可能性があり、ドル安が強まる可能性があろう。米国自動車業界は日米通商協議で「為替条項」の導入を要請しており、農業業界は農産物の輸入拡大を要請している。米国の10月対日貿易赤字が拡大したこともあり、19日に発表される日本の11月対米貿易黒字も警戒される。逆に、声明の内容が従来通りにタカ派的であれば、ある意味サプライズとなってドルは急反発する可能性があることにも注意しておきたい。


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*CFTC建玉12月11日時点:ファンドのドル買い・円売りは9万7606枚(前週比-1万2160枚)と減少した。総取組高は21万3055枚と前週比1万3780枚の減少。



<今週の主な経済指標>
17日は12月NY連銀製造業景気指数、18日は米11月住宅着工件数、19日は米国第3四半期経常収支、米国11月中古住宅販売件数、米国FOMC政策金利、20日は12月日銀金融政策決定会合、21日は日本11月全国消費者物価指数、米第3四半期GDP。


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*予想レンジ:112.50円~114.50円


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【12月17日(月) 国内終値】
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