【ドル円相場、今週の展望】
*今週のドル円は、週末に発表される3月米雇用統計を控えて保ち合いとなりそうだ。3月の中朝首脳会談、4月27日の南北首脳会談、5月に予定されている米朝首脳会談に加え、6月に日朝首脳会談が行われる可能性が出てきた。朝鮮半島を巡る地政学リスクが後退しつつあり、ドル買い・円売りをサポートしよう。 また、今週から新年度となり、105円台では機関投資家らによるドル買いが予想される。
中国は4月2日付けで、米国のアルミニウム・鉄鋼輸入関税への対応として、豚肉やワイン、一部の果物、ナッツ類など128品目に最大25%の追加関税を導入したと発表した。 しかし、米中間の貿易戦争に関しては、米中通商対話で回避されるとの期待感もあり、今回の決定は為替市場に影響はなかったようだ。また、2日に日銀が発表した3月全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・製造業の業況判断DI(良い─悪い)は+24となり、前回の昨年12月調査から2ポイント悪化した。大企業・製造業の景況感は昨年12月調査から8四半期ぶりに悪化し、同非製造業も6四半期ぶりに悪化した。人手不足が一段と強まり、原材料高や円高も重なったため、今後の収益見通しについて慎重になっているようだ。このため先行き景況感も悪化している。もっとも、今年度設備投資は期初計画として省力化投資が本格化してきた可能性がある。
ただ、この発表を受けてもドル円はむしろ底堅く推移し、106円台30銭で堅調に推移した。6日に発表される3月米雇用統計では、失業率は4.0%(2月は4.1%)、非農業部門雇用者数は前月比+18.5万人(2月は前月比+31.3万人)、平均時給は前年比+2.7%(2月前年比+2.6%)が予想されている。予想通り失業率が低下し、平均時給が上昇した場合、インフレ高進観測から米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げペースが加速するとの見方が強まり、ドル買いが強まる可能性があろう。逆に、平均時給が予想を下回れば、利上げペース後退の見方から、ドル売りが優勢となろう。また、欧米とロシアが互いに外交官を追放し、さらに報復措置を取る可能性があり、対立激化が懸念されるため、これもドルの重石となろう。
*CFTC建玉3月27日時点:ファンドのドル買い・円売りは3668枚(前週比-1万8331枚)と減少。総取組高は16万2038枚と前週比1788枚の減少。ファンドのドル買いポジションは減少し、ほぼイーブンとなった。今後、ファンドが新たなドル買いポジションを構築するのか、あるいはドル売りに転じていくのか注目される。
<主なイベント・経済指標>
*2日は日本第1四半期日銀短観、3月米ISM製造業景況指数、3日はカシュカリミネアポリス連銀総裁講演、4日はブレイナードFRB理事講演、3月ADP雇用統計、3月米ISM非製造業景況指数、2月米耐久財受注、5日は新規失業保険申請件数、2月米貿易収支、6日は3月米雇用統計、パウエルFRB議長講演 。
*予想レンジ:105.00円~107.50円
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