【東京金テクニカル分析】

先週末9日に発表された2014年12月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)が前月比25万2000人増加し、市場予想の24万人増を上回った。前月の11月は32万1000人から35万3000人増に上方修正された。これにより、雇用者数は2014年の1年間では295万人増となり、過去15年で最大の伸びとなった。 失業率 も5.6%(前月5.8%、市場予想5.7%)に低下し、2008年6月以来の低水準となった。

しかし、12月の平均時給が前月比で0.2%減の24.57ドルと、2006年以降で最大の落ち込みとなった事から、雇用が創出されても、FRB(連邦準備制度理事会)が望む賃金の上昇にはつながっていない状況が明らかになった。 

FRBは利上げに関して、経済指標次第と表明しているが、市場では、今回の雇用統計の内容ではインフレ率が低水準に留まる可能性が高いことから、利上げ機運は後退する可能性(時期が遅れる)があるとの見方が強まった。

現況では、「米国の利上げ」と「ドル建て金」は相反する関係にあり、今回の雇用統計の結果はNY金には強材料となり、週明け以降も底堅く推移している。

1月6日時点でのCFTC建玉明細によると、ファンドの買い越しは12万2178枚(前週比+6341枚)と買い越し幅は増加。総取組高は39万4021枚(前週比+2万39枚)に増加。売りが減少し、買いが増加している。

*NY金日足
一目均衡表、主要移動平均線はいずれも上昇相場を示唆している。

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世界銀行は13日公表した経済見通しで、2015年の成長率予想は3%とし、昨年6月時点の3.4%から下方修正した。2016年についても従来予想の3.5%から3.3%に引き下げた。2017年については3.2%に減速すると見込んでいる。米国は堅調ながら、ユーロ圏や日本、一部の主要新興国の見通しが弱く、原油安による恩恵が相殺されるとの見方を示した。

ただ、急激な原油安により、そのデメリットも意識され、米経済に対する期待も一頃よりは後退している。年明け以降のNYダウは、1万8000ドルが上値抵抗線となって上下に振れる不安定な展開が続いており、市場では株価が下落すると、リスク回避姿勢が強まってNY金が反発している。

*NYダウ日足
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さて、米国の利上げはドル建てのNY金相場には弱材料となるが、為替市場では、ドル買い・円売りから円安が進行するため、円建て金相場には強材料になる。

東京金日足の現況(4600円台)は、昨年12月10日の高値4728円と12月17日の安値4460円で形成されたレンジの中にある。14日には4725円まで上昇し、レンジの上限に迫ったが、反落に転じて大陰線となり、一目均衡表の転換線を割り込んだ。昨夜は4594円まで下落したが、基準線にサポートされて引き戻し、下ヒゲが出現している。遅行線も実体のサポートを受けて反発しており、上昇相場は崩れていない。

仮に、基準線を下回っても、その下には50日移動平均線があり、さらには一目均衡表の雲、100日と150日の移動平均線があるため、長期上昇トレンドは維持されるだろう。

今後も押し目買い基調は継続すると予想する。

*東京金日足

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