【ドル円テクニカル分析】

先週22日、欧州中央銀行(ECB)理事会で、量的金融緩和(QE)が決定された。ユーロは主要通貨に対して大幅に下落し、ユーロドルは1.11ドル台まで下落し、2003年9月以来の安値水準となった。

ドルが対ユーロで反発したのに合わせてドル円も浮上したが、118円80銭台までで、119円の上値抵抗線に戻りを抑えられた格好だ。

もっとも、日足を見ると、相場は上値121円86銭(2014年12月8日)と下値115円55銭(2014年12月16日)で形成されるレンジ内にある。

しかし、日足に25日、50日、100日の移動平均線を入れてみると、先週の高値はすべて25日移動平均線に抑えられており、本日は25日移動平均線と50日移動平均線がデッドクロスしつつあることに気付く。RSI(14日)も47.3%と50%を割り込んでおり、地合いは弱基調に転換している。

75日移動平均線(現在116円50銭)を下回ればレンジの下限まで下落する可能性が高い。レンジの下限を下回った場合、レンジ幅121.86-115.55=6.31円をレンジの下限から下に伸ばして、115.55-6.31=109円24銭が下値目標値として算定される。

もっとも、下限の下には100日移動平均線(現在114円44銭)があり、ここでサポートされる可能性は高いだろう。しかし、100日移動平均線を下回った場合、150日移動平均線(現在110円58銭)、200日移動平均線(現在108円43銭)が下落の目安になるが、算定される109円24銭は150日線と200日線に挟まれたレベルにある。

*ドル円日足
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*26日に日銀金融政策決定会合議事要旨(12月18日・19日分)が公表された。
1.金融環境は、緩和した状態にある
2.「量的・質的金融緩和」の拡大が原油価格の下落そのものへの対応と市場の一部で受け止められている
3.消費者物価(生鮮食品を除く)の前年比は、+1%程度になった
4.海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつ、先進国を中心に回復している

金融政策の維持は賛成多数で決定された。
原油価格の下落が物価を下押しすると認識されているが、そのために追加緩和も予想されているとの見方に対して、追加緩和は、原油価格の下落ではなく、デフレマインドリスクの顕現化を未然に防ぐためとの見解を表明した。

原油価格下落については、長期的には経済活動に対してプラスに作用するため、物価の押し上げ要因になるとしており、追加金融緩和に対しては消極的な姿勢を見せた。

ドル円の上値が重くなった背景には、日銀の追加金融緩和に関する言及がなかったためと思われる。

*27、28日の両日、連邦準備制度理事会(FRB)は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の定例会合を開催した。今回はイエレン議長の会見はなかった。
1.事実上のゼロ金利を維持
2.利上げに向けて「辛抱強く」対応するとの指針を維持。利上げ判断は雇用、物価、金融、国際情勢を考慮する
3.米経済活動は堅調に拡大。エネルギー価格の下落は、家計の購買力を押し上げる
4.エネルギー価格下落でインフレは目標を下回り、短期的にはさらに低下するが、中期的には雇用改善などで2%に向かって上昇。

発表後はドルが買われたが、特に目新しい内容もないため、利益確定売りにドル円の上値は重くなった。

なお、金融当局がインフレ指標としてみている個人消費支出(PCE)価格指数は昨年11月に前年比1.2%上昇。31カ月連続で当局の目標である2%を下回った。

今月30日に発表される昨年第4四半期米実質国内総生産(GDP)速報値は3.1%増と、リセッション後の平均2.2%増を上回るとの予想。 第3四半期の米実質国内総生産(GDP)確定値は前期比年率5%増に上方修正され、2003年第3四半期以来で最高だった。

第4四半期のGDP速報値が良好であれば、為替市場はドル買い・円売りで反応し、25日移動平均線ブレイクを目指す反発となるだろう。逆に、予想を下回る内容であれば、レンジの下限を試す下落になると予想される。


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