【豪ドル円テクニカル分析】
本日2月3日、オーストラリア準備銀行(中央銀行)は、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレート の誘導目標を0.25ポイント引き下げ、過去最低の2.25%とすることを決めた。

これを受けて豪ドルは急落し、豪ドル円は90円の節目を下回った。ほぼ一直線的な下落は、市場はいかに狼狽しているかを示している。今回の利下げはサプライズだったようだ。

*豪ドル円15分足
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1月28日に発表された豪州の2014年第4四半期(10~12月)の消費者物価指数(CPI)は前期比0.2%上昇した。前年同期比では1.7%上昇した。豪準備銀行(RBA、中央銀行)が重視する基調インフレ率は、前期比0.7%、前年同期比2.25%と、いずれも市場予想(前期比0.5%、前年同期比2.2%)を上回る強い数字だった。

豪準備銀行(RBA、中央銀行)はインフレ目標を2~3%に置いている。基調インフレ率(前年同期比2.25%)が目標下限の2%を超えたことから、RBAが2月3日の理事会で利下げを実施するとの見方が後退していた。

しかし、鉄鉱石価格の下落を受けて2014年通年の輸出価格は、9.1%の大幅下落となり、交易条件の悪化が企業利益や国民所得に影響し、経済見通しに影を落とすとの見方が強まって先月末に、豪ドルは対米ドルで5年半ぶりに最安値を記録した。特に最近は、天然ガス価格の下落もあって、交易条件がさらに悪化すると予想されている。

豪州は鉄鉱石、石炭、金などの産出国として知られているが、天然ガスの産出国であり、輸出国でもある。同国の天然ガスは増産基調にあり、1970年の17億立方メートルから1980年111億立方メートル、1990年207億立方メートル、2000年312億立方メートル、2010年456億立方メートルと拡大している(BP=ブリティッシュ・ペトロリアムのデータによる)。国内需要は250億立方メートル程度で、1989年からLNG(液化天然ガス)を輸出している。埋蔵量は2兆4,000億立方メートルで世界シェアは1.8%。豪州は、在来型ガス資源に加えてシェールガスも大きく、埋蔵量が飛躍的に拡大する可能性があると予測されていた。従来のプロジェクト建設が順調に推進されれば、2016年までにカタールに次ぐ世界第2のLNG輸出国になる見通しだった。しかし、折からの原油価格の暴落を受けて天然ガス価格も下落し、開発計画が頓挫する事になった。

*天然ガス週足
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豪準備銀行(中央銀行)は、14~18年に資源・エネルギー分野の雇用がおよそ4万人減少すると予測している。それに伴い、失業率の増加も予想され、現在の6.1%から6%後半に上昇するとの予想も出ている。そのため、産業界からは、一段の豪ドル安への誘導を求める声が強まっていた。

本日の利下げにはやはり、資源国通貨としての苦悩が浮かび上がった結果と言えるだろう。ただ、過去最低水準まで利下げしたことで、しばらくこの状況を見守るのではないか。ここに来て原油価格も反発しており、天然ガス価格への波及も期待される。

豪ドル円の週足を見ると、長期的なサポートラインとして機能していた200週移動平均線に接近した。RSI(14週)も30%を割り込むレベルまで低下しており、底値圏に近い可能性がある。

*豪ドル円週足

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