昨日のNY原油は、世界的な供給過剰懸念の後退を背景とした買い戻しが優勢になり前日比で8%を超える大幅続伸となった。

OPECは31日に公表した月報で、最近の原油安に対する懸念を示した上で、適切かつ妥当な価格の達成に向けて他の産油国と協議する用意があるとの見解を示した。また、米エネルギー情報局(EIA)が1~6月の国内原油生産を若干ながら下方修正した。

これらの2つの強材料が、売られ過ぎ水準のところで重なり、月末要因も重なって、今回の急騰となったようだ。

NY原油は、年初来安値の37.75ドル(8月24日)から、31日の戻り高値49.33ドルまで30%以上も急騰したため、これをもって強気相場入りしたとの見方も出ているが、相場格言にも、「1割高下に従い、3割高下に向かえ」とある。

また、テクニカル的にも日足を見る限り、まだ上値は重く、戻り売り圧力がかかる可能性が高い。

日足の一目均衡表を見ると、転換線と基準線を上回って、短期的には上昇基調にあるが、まだ上値抵抗ゾーンの雲の下限にも達していない。遅行線は上昇して、ちょうど実体に差し掛かったところで、上昇相場の条件である上抜けは、まだ達成されていない。

また、日足には50日、100日、200日の3本の移動平均線を入れてあるが、31日の高値はちょうど50日移動平均線とぶつかった。さらに、雲の中には100日と200日の移動平均線があり、雲と重なることから、54ドル前後は強力な上値抵抗ゾーンになるだろう。

RSI(14日)はまだ60%台なので上値余地はあり、50ドル台乗せの可能性はあるが、雲に加え、100日と200日の移動平均線があるため、上値は抑えられるだろう。

よって、さらに上昇しても戻り売りを受けて、転換線と基準線のある44ドルレベルへと反落する可能性が高いと見る。

本日発表された8月の中国製造業購買担当者景況指数(PMI)は49.7と3年ぶりの低水準となり、8月の財新製造業PMI確報値も47.3と、いずれも景気判断の分かれ目である50を下回った。日経平均株価は700円以上の下落となり、午後5:00時点の欧州株も下落している。今夜のNYダウも続落する可能性が高く、株価が冴えない状況で、原油相場が独歩高となる可能性は低く、上昇しても継続性はないだろう。

さらにいえば、9月はガソリン需要も暖房油需要も盛り上がらない需給の端境期にあたり、需給面の後押しも期待できない。

よって、原油及び石油製品は、依然として戻り売りが有利と見る。


以上は、弱気の見方だが、NY原油が雲の上限と200日移動平均線を超えて上昇するようであれば、その時は、強気相場入りしたと判断してもいいだろう。

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