【ポンドは揺れる】

先週のポンドは大幅下落となった。欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国の国民投票が6月23日に実施されることが決まり、英国の通貨ポンドの下落に拍車が掛かった。離脱が決まれば輸出の落ち込みなどで同国経済は大打撃を受ける見込みで、市場の警戒感が強まった。対ドルでは2009年3月以来の安値水準となる1.38ドル台まで下落した。対円では2013年10月以来の155円割れを示現した。週末はドル円の上昇もあって買い戻されたが158円に留まった。

ポンドは英国のEU離脱懸念を背景に大幅に下落したが、まだEU離脱の結論が出たわけではなく一段安への警戒感が出てきている。

18、19日に開催されたEU首脳会議では、英国の離脱回避へ向けたEU改革案に合意した。キャメロン英首相はEU離脱・残留の是非を問う国民投票を6月23日に実施すると発表し、EU改革案は英国民に対しEU残留を訴えるのに十分なものとの認識を示し、国民にEU残留支持を訴えた。

しかし、ロンドンのボリス・ジョンソン市長が、EU離脱を支持すると表明したため、市場の警戒感が高まりポンド売りが強まった。ジョンソン・ロンドン市長は、EU改革案は不十分と指摘し、離脱の方が財政的に有利で国民にも良いと述べた。同市長は、次の首相候補と目される与党の有力者だけに、世論には大きな影響を与えると判断されたようだ。加えて、ゴーブ司法相ら保守党議員が離脱支持に回ったことで、英国のEU離脱懸念が高まっている。

6月の投票日までまだ3ヶ月以上あり、この間の世論調査等を受けて上下に振れる展開が予想される。オズボーン英財務相は27日、英国が欧州連合(EU)から離脱すれば世界経済への打撃になるとの見解で20カ国・地域(G20)が一致したことを明らかにした。それによると、G20当局者は英国のEU離脱に対して「深刻な懸念」を表明した。国民投票で英国のEU離脱が決まれば、生じるショックは「今年最大の経済危機のひとつ」になるとの見解で一致したという。

EU離脱論と利上げ後退で下落基調が続いているものの、EU残留との見方が強まれば急反発もあるだろう。


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