【ドーハの悲劇、原油増産凍結決裂】

17日、カタールの首都ドーハで開催された石油輸出国機構(OPEC)加盟国や非加盟の他産油国が参加した会合では、増産凍結で合意できなかった。増産を計画しているイランが欠席したため、サウジアラビアなどが不満を示し、最終合意に至らなかった。

原油市場はドーハ会合に期待していたため、NY原油は今月上旬の35ドル台前半から、13日には42.40ドル台までおよそ20%上昇した。先週末には、会合の結果を見極めようと利益確定売りが出て、週末には40.36ドルに反落した。


しかし、増産凍結で合意できなかったことを受けて、週明け18日のNY原油時間外(午前9:30)は39.47ドルと先週末比2.24ドル安と急落している。原油相場が再び大幅に下落する懸念が強まっている。

ロシアのノバク・エネルギー相は記者会見で、合意に至らなかったことはロシアにとって予想外だったと発言した。

2月にサウジとカタール、ベネズエラ、ロシアの4カ国は、増産凍結で暫定合意していたため、今回の結果は、当事国でさえ予想外となったようだ。

ただ、17日の会合前にイランは日量400万バレルに達するまで増産を続けると発言していた。また、サウジのムハンマド・ビン・サルマン副皇太子は14日、「全ての主要産油国が足並みをそろえない限り、増産凍結に踏み切らない。凍結しない場合は、あらゆる機会を捉えて原油を売ることになろう」と語った。同副皇太子は同国が即時に原油生産を日量1150万バレルへと引き上げ、さらに6-9カ月後に1250万バレルまで増やす可能性があると述べた。なお、先月のサウジアラビアの原油生産量は日量1020万バレルだった。

原油相場の急落を受けて、市場はリスクオフ状態となり、為替市場はドル売り・円買いが進行し、ドル円は一時107円87銭まで下落した。日経平均株価も一時560円以上の急落となった。逆に、NY金相場は、リスク回避姿勢から買われ、一時先週末比7ドル高1241ドル台まで反発した。


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カタールのサダ・エネルギー相は会合終了後、OPEC加盟国は内部の話し合いと、他の産油国との協議を6月まで続けると述べた。次回のOPEC会合は6月2日に予定されている。

6月の会合までに再び産油国が供給を抑制するための意思を見せられなければ、原油相場は一段安の展開を強いられそうだ。

ただ、イランの強硬な増産姿勢が続く限り、原油相場上昇の可能性は大きくはないだろう。



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