【パラジウム上昇の影にロシアあり】
白金とともに上昇しているパラジウムが注目されている。プラチナとパラジウムの生産はロシアと南アフリカの2カ国がほぼ独占しているため、両国の金融、経済、通貨動向に左右される。

パラジウムも白金同様に、自動車の排気ガス除去用の触媒として使われている。特に、2002年以降は白金価格が高騰したため、白金の代替え品としてパラジウムを主原料とする触媒の研究が盛んになった。

パラジウムの上昇は、最大の生産国であるロシアの経済状況が改善していることと無縁ではないだろう。

ロシアはクリミアをロシア領に編入したため、欧米諸国から経済制裁を科され、しかも2014年以降は原油や天然ガス価格も大きく下落したため、経済的に厳しい状況が続いた。

ロシアの通貨ルーブルは、2014年下期に対ドルで半分に下落し、2015年にはさらに20%値下がりした。2016年1月には史上最安値を付けたが、3月以降はルーブルが急反発し、プーチン大統領は「最悪期は過ぎた」と宣言したという。

長引く通貨安がロシア企業を蘇生させ、原油価格の反発も寄与して、5月6日に国際通貨基金(IMF)はロシア経済が最悪期を脱した可能性を指摘した。

5月下旬、ロシアは2013年以来となるユーロ建て国債を発行した。ロシア政府は国債発行で17億5000万ドルを調達し、借り入れ能力を示した。今年度予算では合計30億ドルを借り入れる計画だが、残りも調達できる見込み。なお、経済制裁の対象にロシア国債は含まれておらず、借り入れを助けることも公式的には禁じられていないという。

東京パラジウムは、7月28日に年初来の高値2352円を付け、とりあえず上昇は一服。

押し目を形成し、2500円を目指す展開になると予想する。

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