【ドル円、今週の見通し】
*今週のドル円相場は堅調に推移しそうだ。25日から開催されるジャクソンホールでのイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演待ちで、ポジション調整が続くだろう。イエレンFRB議長の講演は26日に予定されている。
先週は、NY連銀のダドリー総裁やアトランタ連銀のロックハート総裁が早期利上げに前向きな姿勢を示したほか、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁も講演で「早期に穏やかな利上げを再開することが理にかなう」と発言したものの、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、多くの参加者が利上げに依然慎重になっていることが確認されたため、議事内容がハト派的だったということで、ドルは上値を抑えられてきた。
しかし、21日にフィッシャーFRB副議長が、米経済は既に金融当局の掲げる目標の達成に近づいており、成長が今後勢いを増すだろうと述べ、2016年中の1回の利上げが依然検討されていることを示唆したため、週明けのドル円相場はギャップを空けて反発した。同副議長は21日の講演で、投資が回復し、過去のドル高の影響が弱まることから、向こう数四半期に国内総生産(GDP)の伸びは加速すると予想した。また、米経済はFRBのインフレ目標2%の達成に向けあまり順調とは言えないが、FRBが物価指標として重視するコア個人消費支出(PCE)価格指数は1.6%上昇と、2%から近い範囲内にあると指摘した。
8月に入ってからのドル円の推移を見ると、中旬までは102円50銭が上値抵抗線、101円が下値支持線だったが、101円を割り込んで99円50銭まで下落した。反転反発するには、101円台を回復できるかどうかがポイントだろう。
フィッシャーFRB副議長がイエレンFRB議長の講演時期に近い時に正反対の事を述べるとも思えず、市場は9月の会合での利上げの可能性を探っていく展開になりそうだ。仮にイエレンFRB議長が利上げに前向きな発言を行えば、翌週からドル円の水準は切り上がっていくだろう。
ただ、依然として市場の利上げ見通しは弱い。22日時点のCMEのFEDWATCHを見ても、9月の利上げ確率は18%に過ぎず、先週のFRB高官の発言はさほどのインパクトはなかったようだ。
今週注目される経済指標は、23日の米7月新築住宅販売件数、24日の米7月中古住宅販売件数、25日の米7月耐久財受注、26日の米4-6月期国内総生産(GDP)改定値などが予定されている。
予想レンジ:99.50円~101.50円
*CFTC建玉8月16日時点:ファンドの円買いは5万6006枚(前週比+7175枚)と買い越し幅は増加。総取組高は16万5905枚と前週比1106枚の増加。ファンドのドル売りは継続しており、仮に26日のイエレンFRB議長講演がタカ派的であっても、9月2日に発表される8月の米雇用統計、16日に発表される8月の消費者物価指数(CPI)等が、良好な内容と確認されない限り、円買いポジションは維持される可能性があるだろう。
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