【南アランド円、先週の動きと今週の予想】
*先週の南アランド円は大幅下落となった。23日、南アランドは対米ドルで急落し、3週間ぶりの安値をつけた。警察当局がゴーダン財務相に出頭命令を出したとの報道が嫌気された。26日にはイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演で利上げに前向きな姿勢を見せ、複数のFRB高官も早期利上げを示唆したことから、ドルが買い戻され、南アランドは対ドルで下落した。

*今週の南アランド円は、上値の重い展開が続きそうだ。ゴーダン財務相に警察への出頭命令が出たのは、ゴーダン氏が2009年まで歳入庁長官を務めた際に汚職に関わった疑惑が出ているためだが、ズマ大統領による冤罪との見方もあって真相は不明。財政健全化に取り組む姿勢を示してきたゴーダン氏が辞任することになれば、市場の不安が強まる。市場はショックの再燃を懸念している。辞任で南アフリカの国債格付けが「投資適格」から「投機的水準」に下がる可能性もある。南アフリカ国債の外国人保有比率は35%超。格下げで資金が流出すればランド売りが加速する可能性がある。ズマ大統領は昨年12月にもゴーダン氏の前任だったネネ氏を突如更迭し、ランド相場が急落した経緯がある。

26日、南アフリカ準備銀行(SARB、南ア中銀)のミネル副総裁は、インフレ率は高止まりし南アランドの大幅な変動が物価に影響していると指摘し、利上げサイクルは終了していないとの見解を示した。南アフリカのインフレ率は現在6.0%であり、SARBが目標とするインフレターゲット(3.0~6.0%)の上限にある。インフレ率が上昇し、利上げともなれば、南アランドには弱材料となり、通貨安への悪循環となる。情勢が落ち着くまでは上値の重い展開が続くだろう。

日足チャートでは、50日、100日、200日の主要な移動平均線を割り込んでしまい、下方リスクに注意したいところ。


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予想レンジ:6.90円~7.20円