【トルコリラ、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は軟化した。米国の年内利上げ見通しが高まる中、エルドアン大統領の強権政治に向けた動きや経常赤字が予想を上回ったことも影響して、トルコリラは対ドルで最安値を更新した。ただ、円安が進行したためトルコリラ円の下げ幅は小さかった。

*今週のトルコリラ円は上値の重い展開が続くだろう。相次ぐテロ事件の影響を受けて国内情勢は良くない。地中海に面したリゾート地アンタルヤで、倉庫にロケット弾が着弾して爆発した。アンタルヤは、ロシア人観光客などが多く訪れる海に面した風光明美な人気のリゾート。主要産業である観光業の冷え込みが懸念される。トルコ軍によるロシア軍機の撃墜で冷え込んでいたロシアとの関係は修復し、チャーター便の運航が先月再開された。ロシアとトルコはロシア産天然ガスをトルコ経由で欧州に輸出するパイプライン「トルコストリーム」建設の政府間協定を締結した。プーチン大統領はトルコ産農産品の禁輸措置解除を表明した。また、6年間関係が悪化していたイスラエルとは、天然ガスのパイプラインを建設する可能性について協議した。このような外交関係の改善は、いずれトルコの景気を回復させるだろうが、時間はかなりかかるだろう。

20日にトルコ中央銀行の理事会が開催され、金融政策が決められる。3つの政策金利の中で最も高水準の翌日物貸出金利を0.25%引き下げて8.00%にすると予想されている。9月の消費者物価指数(CPI)は前年比で7.28%上昇と前月の8.05%上昇から下落しておりインフレ率は低下している。しかし、7月のクーデター未遂事件の混乱を受けて経済が減速し、エルドアン大統領の利下げ圧力も加わって、利下げ幅を0.50%に拡大するとの見方や、残る2つの政策金利も引き下げるとの見方も一部では出ている。仮にこのような事態になれば、市場にはサプライズとなり、トルコリラを大きく押し下げる可能性がある。トルコ中銀のチェティンカヤ総裁は、政策金利の単純化を進める方針を明確にしているが、実現するにはまだ時間がかかりそうだ。

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*トルコ中央銀行は、主要政策金利の1週間物レポ金利を挟み、翌日物貸出金利(上限金利に相当)、翌日物借入金利(下限金利に相当)という「3つの政策金利」によるコリドー(金利レンジ)を形成して、市場金利を誘導するやや複雑な金融政策を採用している。将来的には、 「金融政策の簡素化」を進め、金利の一本化を目指していると見られている。

予想レンジ:31.00円~35.00円


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