【豪ドル円、先週の動き・今週の予想】
*先週の豪ドル円は下落した。20日に発表された9月の豪雇用統計では、雇用者数が前月比9800人減少し、市場予想の1万5000人増を下回った。失業率は5.6%と前月改定値の5.7%から低下した。労働参加率は64.5%と前月の64.7%から低下した。雇用の下振れが嫌気されて、豪ドルは売りが優勢となった。

4日に開催された豪準備銀行(RBA、豪中銀)議事録が公表された。これによると、1.次回会合で第3四半期の消費者物価指数(CPI)や新たな経済予想を判断材料とする、2.資源輸出の拡大により、経済成長率は強くなっている、3.経済成長が賃金の伸びとインフレの緩やかな上昇をサポートしている、4.豪ドル高で経済のリバランスが複雑化する可能性等があるとあった。

*今週の豪ドル円は堅調に推移しそうだ。豪準備銀行(RBA、豪中銀)議事録によると、豪州の経済成長は拡大傾向にあり、この経済成長の拡大が賃金の伸びとインフレの緩やかな上昇を引き起こしているとしている。今後、消費者物価指数(CPI)の上昇により金利引き下げを阻害することが予想される。

最近までは、RBAが政策金利を引き下げる可能性があるとの観測が台頭していたが、政策金利引き下げ観測の後退を思わせる内容であることが判明した。そのため、金利引き下げを警戒して豪ドル買いを控えていた投資家は、金利が当面維持されるとの予想を強め、ひいては将来的な利上げもにらんで豪ドル買いに入る可能性がある。

一方で、豪雇用統計の弱さは利下げ見通しを払拭はできていない。RBAは今年に入り2度の利下げ(5月と8月)を実施し、インフレの押し上げを図った。しかし、豪ドルは1月半ばから12%余り上昇し、観光業や資源輸出にマイナスとなった。

ただ、1カ月の雇用統計をもって金融政策を決定することもないと見られ、しばらくは利下げ見通しは後退しそうだ。

今週は26日に7-9月期の消費者物価指数(CPI)が発表される。前年比では+1.1%が予想されており、前回の+1.0%を上回る見込み。8月の金融政策報告では、2016年後半のCPIは+1.5%と想定されている。年末にかけて物価上昇率が回復していくと見込んでいるが、仮にCPIの伸びが鈍化していれば、追加利下げへの連想が強まりそうだ。その場合、急落に転じる可能性があるので注意が必要だろう。

予想レンジ:78.00円~81.00円


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