【ドル円、先週の動き・今週の見通し】

*先週のドル円相場は上昇し、円安が加速した。米連邦準備制度理事会(FRB)は、13、14日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0.25ポイント引き上げて0.5~0.75%のレンジにすると決定した。声明では、インフレ期待が「かなり」上昇したと指摘したほか、労働市場がタイト化しているとの見方を示唆した。FOMC参加者の2017年の利上げ予測中央値によると、来年は0.25ポイントの利上げが3回実施される見込みで、2017年末には1.375%に達する見込み。前回の9月会合後に示された予測中央値では、来年の利上げは2回とみられていた。声明ではまた、「なお緩和的な金融政策は労働市場がやや一層力強さを増すこととインフレ率の2%への回帰を支えていく」と指摘した。インフレ率が金融当局の目標である2%に向けて上昇し、失業率は低下を続ける中で、トランプ次期大統領は成長促進に向けた減税とインフラ投資を表明しており、利上げペースがさらに加速する可能性があると見られている。これを受けて、米長期金利が上昇し、ドル円相場は10カ月ぶりに117円台に急上昇した。15日には、NY製造業景況指数や住宅建設業者信頼感指数などの経済指標も予想を上回ったことで、ドル買いが加速し、一時118円64銭まで上昇した。

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*今週のドル円相場は、週前半は日米金利差の動向をにらんで上値を探る展開が見込まれる一方、週後半は、日本が天皇誕生日、米国市場がクリスマス休暇に入るため、調整局面に入る可能性がある。もっとも、日米の金利差拡大から、下落しても押し目買いに支えられて、調整安は限定的になりそうだ。マーケットでは、トランプ次期米政権の経済政策(大型減税、大規模インフラ投資、大胆な規制緩和)への期待が続いており、ドル円は上昇相場が続いている。しかし、欧米のファンド勢はクリスマス休暇に向けて、利益確定売りを兼ねて買いポジションを減らしてくる可能性が高い。株式市場では、NYダウに悪影響を及ぼす米10年債利回りの水準は2.75%程度とみられている。米10年債利回りが上昇し、NYダウが下落に転じるような展開になれば、ドル円も下落に転じるタイミングになりそうだ。ただし、12月は米国企業が米国へ利益送金することによるドル買い(レパトリ)もあるため、ドルの下値は限定的になるだろう。

今週注目される経済指標は、19、20日の日銀金融政策決定会合、黒田日銀総裁会見、21日の米11月中古住宅販売件数、22日の米7-9月期国内総生産(GDP)確報値、米11月耐久財受注、米11月景気先行総合指数、23日の米11月新築住宅販売件数など。日銀金融政策決定会合では、現状の金融緩和策維持が予想されているが、一部では、日銀による国債購入額を年80兆円から減額するのではないかとの見方もある。そうなった場合、ドル円相場の反落につながるだろう。

*CFTC建玉12月13日時点におけるファンドの円売りは6万3429枚(前週比+2万9492枚)。総取組高は28万5274枚(前週比+4万9359枚)。ファンドはドル買い・円売りポジションをさらに拡大させた。昨年のパターンで見ると、10万枚を越す円売りポジションを構築していく可能性がある。

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予想レンジ:115.50円~118.50円


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