【ドル円、今週の見通し】
*今週のドル円相場は、保ち合いが続くだろう。今週26日はロンドン市場とNY市場が休場。27日はロンドン市場が休場。今週末は年末休暇に入るため、市場参加者も少なく、重要な経済指標の発表もないため、大きな展開は起こらないだろう。唯一気になるのは、世界の主要都市(主に米国や欧州)でテロ事件が起きた場合だろう。リスク回避の観点から、突発的にドル売り・円買いに振れる可能性がある。それがなければ平穏な市場となりそうだ。

さて、先週行われた日銀金融政策決定会合後に行われた黒田日銀総裁の会見では、現在の為替水準は2月と同じで驚くようなものではないとし、早期利上げには否定的な見解を示した。円安の容認姿勢が確認されて、市場はドル買い・円売りで反応した。

トランプ次期政権では、大規模なインフラ投資による財政拡大への期待感が高まっている。また、米連邦準備制度理事会(FRB)は追加利上げをした12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、2017年の利上げペースを従来想定の年2回から年3回へと見方を変えたため、米国の金利先高観は強く、米10年債利回りは2.5~2.6%台に上昇している。この影響から本邦長期金利も上昇し、マイナス金利から脱出したものの、0.05%程度で、日米の金利差の拡大は続きそうだ。

次期米国財務長官のムニューチン氏は11月末に出演した経済専門テレビ番組で、通貨政策について「アメリカに投資資金が流入しているからドル高が起きている。アメリカの経済成長と雇用の拡大が、トッププライオリティー(最優先事項)だ」と述べた。米国の景気が好調であればドル高は許容できることを示唆した。

トランプ氏は、大統領選挙中に中国やメキシコを対象に通貨安を批判したため、市場はトランプ氏はドル安政策を行うとの見方を強めた。しかし、次期財務長官の発言からは、財政政策が景気を支え、FRBが段階的に利上げを実施していくが、結果としてドル高が進むのであれば、問題はないということになりそうだ。ポジション調整で、下押す場面はあっても、大幅なドル安円高となる可能性は低いだろう。

2017年に入れば、ドル円の120円台回復は時間の問題だろう。

今週注目される経済指標は、26日の日銀金融政策決定会合議事要旨、27日の11月失業率・有効求人倍率、11月家計調査、11月消費者物価、10月S&Pケースシラー住宅価格指数、米12月消費者信頼感指数、12月リッチモンド連銀製造業指数、28日の11月鉱工業生産、29日の日銀金融政策決定会合「主な意見」、30日の12月シカゴ購買部協会景気指数など。


*CFTC建玉12月20日時点におけるファンドの円売りは7万5449枚(前週比+1万2020枚)。総取組高は22万0435枚(前週比‐6万4839枚)。ファンドはドル買い・円売りポジションをさらに拡大させた。昨年のパターンで見ると、トレンドを見極めると、ファンドは10万枚を越す円売りポジションを構築していく可能性がある。ファンドのドル買い・円売りはまだまだ継続しそうだ。

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*テクニカル:ドル円は長期的にも上昇基調に転換している。50日移動平均線(赤)は100日移動平均線(青)、200日移動平均線(緑)とそれぞれゴールデンクロスしており、長期上昇トレンドは磐石だろう。ただ、相対力指数(RSI)が2度ほど80%台に達し、現在は下落している。買われ過ぎ感の修正が起きており、週末の出来高が薄いときに急落する可能性もありそうだ。調整場面を挟みながら、上値を目指す展開になろう。今後の円安の目安であるが、ドル円はおよそ5円幅で動くことが多く、115円に達したことから、次の上値目標値は120円になるだろう。

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予想レンジ:116.50円~118.50円


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