【 東京金は上値抵抗線をブレイクし、値固め局面へ 】

*トランプ新政権が20日に発足したが、公約通り環太平洋連携協定(TPP)からの米国の離脱に関する大統領令に署名し、米企業幹部に対しては、米国内の工場を国外移転させ、米国に製品を輸入する企業に対して国境税を課すと警告した。トランプ政権の保護主義的な政策姿勢などに対する警戒感から、株式市場は不安定であり、安全資産である金は買われやすい。しかし、米国の経済指標は良好で、今年の利上げペースは年3回が確保されるとの見方も強く、米長期金利は2.4~2.6%で推移している。金利上昇を受けてドルが上昇すればドル建て金には弱材料となる。NY金は50日移動平均線を上回り1200ドルを回復したが、1250ドル台は100日と200日移動平均線があるため、しばらくは1200~1250ドルのレンジで値固めとなるだろう。

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*CFTC建玉1月17日時点:ファンドの金買い越しは10万7041枚(前週比-2441枚)と買い越しは増加。 総取組高は46万7937枚と前週比2万3936枚の増加。

*金ETF「SPDRゴールド・トラスト」の金保有高は、1月24日時点で804.11トン。昨年の最大量は982.72トン(7月5日)。トランプ相場を受けて世界的に株価が堅調に推移し、米長期金利も2.5%前後で高止まりしている。米国では12月に利上げが実施され、2017年の利上げペースも年3回が想定されており、安全資産である金には買われにくい状況が継続している。ただ、トランプ政権発足後、ドル高を是正したい意向が示唆され、金ETFも800トン台で減少が止まったようだ。
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*東京金は昨年11月中旬以降、4300円を上値抵抗線として保ち合っていたが、年末に突如として急伸した。昨年11月の米大統領選以降、下落基調を強めたNY金が1100ドルを割り込まなかったことから買い戻されたことに加え、トランプ相場を受けて米長期金利が上昇し、ドルが買われたため円安が進行した。東京金は押し上げられ、この流れが年明けも続いている。トランプ新政権はどうやらドル安志向のようだ。米国の製造業を復活させ、雇用を拡大させる政策からすれば輸出促進が重要になってくる。輸出を促すにはドル安が好都合となろう。また、新政権の期待値がかなり先走り過ぎたため、NYダウは2万ドルの大台目前まで急伸したが、目標としている年4%の経済成長が困難となれば、今年の利上げも想定の3回からせいぜい2回程度にとどまることが予想される。米長期金利も2.7%を超えていくことが困難となれば、ドル買いには限界があろう。ドル安によりドル建て金は割安感から買われることが予想され、東京金も下値を切り上げていく展開になるだろう。昨年の高値4622円を起点とする上値抵抗線をブレイクし、4400円台に乗せたが、しばらくはこのレベルで保ち合いの値固めとなろう。次の上値は昨年7月の高値4523円になるだろう。

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*今週の予想レンジ:4350~4450円


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