【 東京金は保ち合い続く、値固め局面へ 】

*トランプ新政権への期待の高まりを受けてNYダウは25日に2万ドルの大台に乗せた。一方、市場のリスクオンモードを受けて、安全資産である金は売りが優勢となり、1200ドルの大台を割り込んだ。NYダウは続伸し、2万100ドル台まで上昇した。一方、NY金は27日に1180ドル台まで下落した。

27日に発表された2016年10~12月期の米実質国内総生産(GDP)速報値は季節調整済み年率換算で前期比1.9%増となり、伸び率は前期から大幅に鈍化し、12月の耐久財受注も市場の予想に反して減少したことから、1180ドル台で下げ止まったようだ。週明け30日のNY金は反発した。トランプ大統領が27日、シリア難民受け入れの無期限停止やイスラム圏7カ国出身者の入国一時禁止を柱とする大統領令に署名したことを受け、米国内外で抗議の動きが広がったことを受けて、NYダウが下落したため、市場はリスクオフ状態となり、金が買われた。ただ、31から2日間の日程で開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて様子見ムードも強く、上げ幅は限定的だった。NY金は下値が50日移動平均線でサポートされる一方、上値は100日移動平均線に抑えられて、保ち合い状態にあるようだ。

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*CFTC建玉1月24日時点:ファンドの金買い越しは10万9407枚(前週比+2366枚)と買い越し幅は増加。総取組高は48万2374枚と前週比1万4437枚の増加。

*金ETF「SPDRゴールド・トラスト」の金保有高は、1月30日時点で799.07トン。昨年の最大量は982.72トン(7月5日)。トランプ相場を受けて世界的に株価が堅調に推移し、米長期金利も2.5%前後で高止まりしている。米国では12月に利上げが実施され、2017年の利上げペースも年3回が想定されており、安全資産である金は買われにくい状況が継続している。

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*トランプ大統領は27日、シリア難民の無期限受け入れ停止やイスラム圏7カ国からの一時的な入国禁止を柱とする大統領令に署名した。これを受け、全米の主要都市や空港のほか、国外でも抗議の動きが広がり、トランプ政権の内向き志向の政策に対する懸念から、投資意欲が後退し、週明けのNYダウは大幅続落し、2万ドルの大台を割り込んだ。30日にトランプ大統領は、難民・移民の入国を制限する大統領令を擁護しないよう司法省弁護士に指示したイェーツ米司法長官代行を解任した。司法関係者のみならず大企業や一般市民も巻き込んでの抗議活動が盛んになり、米国は大袈裟に言えば二分されてしまったようだ。米社会の不安定さを反映してNY金時間外は1200ドル台を回復している。今週は31、2月1日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されるが、金融政策に変更はないだろう。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見も予定されていない。3日には1月の米雇用統計が発表される。予想は、非農業部門就業者数(NFP)が16.8万人(前月15.6万人)、失業率4.7%(前月4.7%)。これに沿った内容であれば、年内3回の利上げの可能性が高まりドルが反発する(ドル建て金は下落)可能性がある。逆に、NFPが10万人を下回った場合、急激なドル安(ドル建て金は上昇)となろう。もっとも、2月10日にトランプ大統領と安部首相の会談が予定されており、為替相場への言及も予想されることから、ドルの上昇には限界があると予想する。東京金は昨年の高値4622円を起点とする上値抵抗線をブレイクし、4400円台に乗せたが、再び4300円台に後退している。しばらくはこのレベルで保ち合いの値固めが続き憂そうだ。

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*今週の予想レンジ:4300~4420円


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