【ドル円、今週の見通し】
今週のドル円相場は、円高基調ながら一時的に上に振れる可能性もありそうだ。今週28日にトランプ大統領が就任後に初めて行う上院・下院における議会演説が注目される。トランプ大統領が9日に表明した「驚異的な税制改革案」の発表は見送られるとの見通しで先週のドル円は112円を割り込む下落となった。しかし、ムニューシン財務長官が税制改革案の発表が遅れる可能性を示唆したものの、週末には、トランプ大統領が両院議会演説で税制改革に言及する可能性を示唆したことで、ドル円は下げ渋り、週明け27日の東京市場では112円絡みで下げ渋っている。ムニューシン財務長官は23日、税制改革は「非常に重要」とし、議会が8月の休会前に税制改革法案を承認することが望ましいとの考えを示したが、詳細には踏み込まなかった。市場はこの発言に関して、財源が不足しているので、財政の具体策は年内は困難と受け止めているようだ。米国の法制化手続きを考えれば、3月に提出された税制改革案が8月までに成立する可能性は低いという。米10年債利回りも15日につけた2.525%で頭打ちとなり、直近では2.3%台まで低下している。金利低下を受けてドルも下落している。3日にはイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演する予定だが、3月利上げの期待は後退している。24日時点におけるCMEのFED WATCHによると、3月の利上げ確率見通しは26%台に留まっている。

ただ、トランプ大統領の演説が想定外の内容になることも予想され、大型減税に関する具体策が出れば、ドル円は一時的に上昇することも想定される。しかし、大型減税について発表したものの、減税額が予想を下回ったり公表時期が大幅に遅れるような場合、ドル買いは一時的に留まるだろう。NYダウは連日史上最高値を更新しているものの、上げ幅は徐々に縮小しており、実効性が伴わないとの見方が強まれば、トランプノミクスに対する市場の期待も急速に萎んでくる可能性もある。期待も持たせる演説で一時的にドルが買われても、現状のドル安基調を覆すには至らないだろう。3月に入れば15日のオランダ総選挙、4月にはフランス大統領選と欧州リスクが意識されてくる。アジアでも北朝鮮のミサイル発射、金正男暗殺など地政学的リスクが高まる可能性がある。リスク回避からの円買いは潜在的に強く、ドル円の下落基調は継続しそうだ。

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今週発表される主な経済指標は、27日の米1月の耐久財受注、3月1日の米第4四半期国内総生産(GDP)改定値、12月のケースシラー住宅価格指数、1日のベージュブックなどが注目されよう。

*CFTC建玉2月21日時点:ファンドのドル買い・円売りは5万0162枚(前週比-1122枚)と減少。総取組高は20万5223枚と前週比946枚の増加。トランプ政権が発足してから、ドル買い・円売りポジションが縮小している。

予想レンジ:111.50円~114.00円


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