【南アランド、先週の動き・今週の予想】
*先週の南アランド円は堅調だった。南アランドは貴金属相場の上昇を背景に対ドルで上昇し、2015年8月以来の高値を更新した。1月の消費者物価指数(CPI)は前年比上昇率6.6%と、昨年12月の6.8%から鈍化し、予想の6.7%も下回った。1月卸売物価指数(PPI)も前年比5.9%と前回の7.1%、予想の6.6%から低下。インフレ率改善とみなされ、南アランドには好材料になったようだ。

*今週の南アランド円は、堅調に推移しそうだ。南アフリカ準備銀行(SARB、南ア中銀)は、同国の経済成長率を2017年が+1.1%、2018年が+1.6%になると予測している。国際商品価格の上昇とインフレ率の低下、金利の安定、農業部門の回復により、2017年の成長率は2016年(予想+0.4%)上回ると見込んでいる。南アフリカは白金最大の生産国であるが、同国のプラチナ生産大手のアングロ・アメリカン・プラチナ(アムプラッツ)2016年決算で、利益が19億ランドとなり、1億2600万ランドの赤字だった前年から黒字転換した。2015年に128億ランドだった純債務は16年に73億ランドに減少し、同社は2017年は50億ランドを下回る水準を目指すと表明した。 南アフリカ経済に影響を与える中国の国内総生産(GDP)や貿易収支が改善したことも支援要因。南アフリカの格付けは、格付け会社のS&Pが「BBB-」、ムーディーズが「Baa2」。いずれも今のところ投資適格級と判断されている。S&Pは南アフリカのリセッションは回避されるとした。ただ、逆に言えば、ジャンク級へ下落する可能性は低くない。財政赤字が大きいため、財政出動は困難で増税に踏み切る可能性がある。財政赤字削減に失敗すれば、それこそジャンク級への格下げとなろう。

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 ブルームバーグの報道では、クレディ・スイスの調査によると、1900年~2016年の過去117年において株式市場が最高だったのは資源国の南アフリカ共和国だったとのこと。ズマ大統領への不信感から与党のアフリカ民族会議(ANC)に対する支持が薄れているが、逆に今後の政治的・経済的な変革が期待されているようだ。年末に行われるANCの党首選までは、この期待感が南アランドをサポートしよう。ズマ大統領が交代するかどうかが最大の焦点になるだろう。

予想レンジ:8.50円~8.80円


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