【 東京金は調整安場面 】

*先週のNY金は、米国の早期利上げ観測が高まって下落する展開となった。複数の米連邦準備制度理事会(FRB)高官らが、早期利上げに前向きな発言がなされた。3日には、イエレンFRB議長とフィッシャー副議長の発言が注視されたが、市場は今月14、15日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で、追加利上げが決定されるとの見方を一段と強めた。イエレンFRB議長は、今月の金融政策会合で雇用と物価が想定通りと確認されれば、政策金利の一段の調整が適切になると述べ、利上げに前向きな姿勢を示した。フィッシャー副議長も、月内利上げに前向きな発言をしている他の高官らと同じ考えであることを明らかにした。ただ、フランス大統領選で、国民戦線のルペン党首が優勢との報道や、北朝鮮のミサイル発射を受けて地政学的リスクが高まったため、安全資産として金を買う動きもあり、下値は限られた。

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*テクニカル的には1265ドル近辺にある200日移動平均線に上値を抑えられて下落したが、下値は25日移動平均線と100日移動平均線にサポートされている状況。25日線と100日線はゴールデンクロスしており、下値は堅いだろう。1250ドルを軸にして、レンジ相場が続きそうだ。


*CFTC建玉2月28日時点:ファンドの金買い越しは16万3798枚(前週比+4万0035枚)と増加。総取組高は44万6081枚と前週比1万8913枚の増加。

*金ETF「SPDRゴールド・トラスト」の金保有高は、3月6日時点で836.77トン。2月に入ってから増加に転じ、1月末(799.07トン)から比較すると、5%あまり増加している。しかし、先週は株高、早期利上げ見通しを受けて、増勢が一服している。今年の最大量は843.54トン(2月15日)、昨年の最大量は982.72トン(7月5日)。

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*東京金は2月28日に4537円を付け、昨年7月の高値4523円を上回った。その後は反落に転じ、4500円を割り込んで調整安場面に入ったようだ。早期利上げ観測が高まり、3月の利上げ見通し確率は85%を超えてきた。今週は10日に2月の米雇用統計が発表される。7日時点での予想は、非農業部門就業者数が19万人(前回22.7万人)、失業率が4.7%(前回4.8%)、平均時給が+0.3%(前回+0.1%)とまずまず良好で、予想の範囲内であれば、14、15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが決定される見通し。金相場も上値の重い展開になるだろう。

しかしその後は、欧州の政治リスクが意識され、押し目を形成していくだろう。15日にはオランダの総選挙、4月にはフランスの大統領選挙があり、いずれもポピュリスト政党の躍進が予想されている。特にフランスでは、欧州連合(EU)脱退を公約している国民戦線のルペン党首が勝利することになれば、ユーロ崩壊といった最悪の事態も想定されるだけにリスク回避の金買いが優勢となりそうだ。アジアにおいても北朝鮮のミサイル発射で地政学的リスクが高まっている。東京金は昨年3月7日の高値4622円から0.38倍押し=4428円を目安に押し目を形成しそうだ。

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*今週の予想レンジ:4400~4500円



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