3月23日(木)
【3月22日の海外相場および市況】
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*22日のNY金は、世界的な株安などを背景に投資家のリスク回避姿勢が強まったことから買われて続伸した。ただ、1250ドル付近では高値警戒感も根強く、上値は重かった。ロンドン中心部の英国会議事堂付近でこの日、テロとみられる襲撃事件が起こり、為替市場ではユーロが対主要通貨で上げ幅をやや圧縮したものの、金相場の反応は一時的だった。トランプ大統領や共和党議会指導部は医療保険制度改革(オバマケア)の改廃法案可決に向け、十分な支持を得られていないようだ。法案は23日に下院で採決される予定。法案が可決されない場合、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げペースに関してより慎重になる可能性があり、金には強材料になりそうだ。NY白金は続落。

*22日のNY原油は3日続落。一時47ドル割れが迫った。米エネルギー情報局(EIA)が公表した週間在庫統計は、原油在庫が500万バレル増を記録し、10週ぶりに減少に転じていた前週から一転して市場予想(280万バレル増)を上回る積み増しとなったことから、供給過剰懸念が強まった。EIAの発表直後には、一時47.01ドルと2016年11月末以来約3カ月半ぶりの安値に急落した。ただ、ガソリン在庫は280万バレル減(予想は200万バレル減)、ディスティレート(留出油)在庫は190万バレル減(同140万バレル減)と、石油製品在庫が予想を上回る取り崩しとなったため、安値からは反発した。石油輸出国機構(OPEC)の減産にもかかわらず、供給が今年に入って約5500万バレル増加しているため、OPECの減産合意の実効性を相殺する以上の弱気効果をもたらしている。米シェールオイル生産者は掘削リグ数を増やしており、3月10日までの1週間の生産量は日量約910万バレルと、昨年平均の890万バレルを上回った。

*22日のシカゴトウモロコシは、ブラジルの降雨予想を嫌気して3日続落。米国でも降雨があり、作付け期を前に中西部で土壌の水分が蓄えられるとみられている。シカゴ大豆は、米国の大規模作付け予想を嫌気して反落。

*22日のNY外国為替市場では、トランプ政権の政策運営に対する不透明感が晴れない中、安全資産である円が買われ、ドル円は一時110円74銭と、2016年11月22日以来4カ月ぶりの安値を付けた。ただ、その後ドルは買い戻され、111円台前半に戻して引けた。医療保険制度改革法(オバマケア)の見直し法案は23日に下院本会議で採決される予定だが、共和党内の一部反対で否決されるとの観測が浮上。同法案が成立しないと、大型減税など財政刺激策もまとまらないとの見方が広がった。米債券買いに伴う長期金利の低下も日米金利差の観点から円買い・ドル売り要因となった。また、2月の米中古住宅販売件数が前月比3.7%減の548万戸と、市場予想の557万戸を下回ったこともドル売り材料となった。

*22日のNYダウは小幅続落。トランプ政権が最優先で取り組む医療保険制度改革(オバマケア)の代替法案をめぐり、共和党内の調整が難航。そのため、大型減税など経済政策も停滞するとの懸念から、この日も売りが優勢となった。オバマケア代替法案は23日に米下院で採決される予定だが、共和党内の離反で否決される可能性への警戒感が強い。トランプ相場にとって、代替法案の採決は今後の相場を占う試金石となっている。法案が否決されれば、大型減税や巨額インフラ投資、規制緩和に対する市場の期待がはく落し、相場が調整局面に入る可能性もある。


【本日の主な経済指標およびイベント】
18:30 (英) 2月小売売上高 (自動車燃料含む:前月比) -0.3% +0.4% --
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 24.1万件 24.0万件 --
23:00 (米) 2月新築住宅販売件数 55.5万件 56.4万件 --
      (米) 2月新築住宅販売件数 (前月比) +3.7% +1.6% --
24:00 (EU) 3月消費者信頼感・速報 -6.2 -5.9 


第108回 『おしえて陳さん』 
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