【 東京金は値固め局面 】
*先週のNY金は上昇した。米医療保険制度改革(オバマケア)代替法案の採決待ちの中、金は下値を切り上げた。同法案が成立しない場合、トランプ政権が掲げる大型景気対策も暗礁に乗り上げかねないとの懸念も強く、リスク回避姿勢が強まり、株とドルが売られ、安全資産である金は買われた。24日、オバマケア代替法案は事実上の撤回となり、トランプ政権の政策運営に懐疑的な見方が広がった。週明け27日は世界的な株安となり、為替市場ではドル安・ユーロ高が進行したことも押し上げ材料となって、NY金は目先の上値抵抗線である1250ドルを終値でブレイクし、2月27日(128.80ドル)以来1カ月ぶりの高値を付けた。一時1261.0ドルまで上昇し、年初来の高値を伺う展開となった。目先は2月27日につけた年初来高値1263.10ドルを更新し、2月にはじき返された200日移動平均のある1268ドルを超えられるかがどうかがポイントになろう。今週中に200日移動平均線を超えれば、次は1300ドルを目指すだろう。もたつくようであれば、1250ドル台で値固めになりそうだ。

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*CFTC建玉3月21日時点:ファンドの金買い越しは11万6252枚(前週比+1万0214枚)と増加。総取組高は44万6880枚と前週比2万0710枚の増加。


*金ETF「SPDRゴールド・トラスト」の金保有高は、3月21日時点で835.29トン。2月に入ってから増加に転じ、1月末(799.07トン)から比較すると4.5%増加している。前年同期比では1.4%増加。今年の最大量は845.32トン(3月2日)、昨年の最大量は982.72トン(7月5日)。

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*NY金は、15日米連邦準備制度理事会(FRB)が、利上げにそれほど積極的ではないスタンスを示したことで反発に転じている。これに加え、先週は、米医療保険制度改革(オバマケア)代替法案の採決がもたつき、結局は事実上の廃案となったことで、市場のリスク回避姿勢が強まり金買いに弾みがついた。株式市場が下落する中、NY金は一時1261ドルの高値をつけ、上昇基調を強めた。為替市場では、ドル円が111円台後半から110円台前半に円高が進行したため、東京金は4450円を軸にした保ち合いで推移した。今回のオバマケア代替法案を巡るごたごたで、トランプ政権の稚拙な運営政権が懸念された。今後は、大型減税、インフラ投資に取り組むことになるが、遅滞なく進めることができるかどうか市場の不信感が晴れることはないだろう。また、結局の所、大型減税もインフラ投資も財政赤字を膨らませることになるため、将来のインフレにつながる可能性が高く、金の支援要因となる。4月はフランス大統領選挙の第1回目の投票が実施される。極右政党の国民戦線のル・ペン候補の優勢は揺らいでいるため、一頃よりは欧州の政治リスクに過剰反応はしていない。

しかし、逆にそのことがユーロの上昇につながっており、ドル建て金の押し上げ要因になっている。EUではインフレ率が上昇しており、市場では早くも、欧州中央銀行(ECB)が金融緩和を縮小するのではないかとの思惑が出ている。週明けのユーロドルは、ドイツのザールランド州議会選挙でメルケル首相率いる与党が勝利したことを受けた安心感もあり、1.09ドル台に達し、一時時昨年11月中旬以来約4カ月半ぶりの高値を付けた。ユーロの上昇はドル建て金を割安にさせ、NY金を押し上げていく。東京金も値堅め後に、年初来高値4537円(2月28日)を更新する展開になろう。

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*今週の予想レンジ:4400~4500円


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