【南アランド円、先週の動き・今週の予想】
*先週の南アランド円は大幅下落となった。ズマ大統領がゴーダン財務相を含む9名の閣僚を解任したことを受け、南アフリカの財政悪化が連想された。これに連動して、米格付け会社S&P社は南アフリカを、2000年以来17年ぶりに投機的格付けのジャンク級に格下げした。S&P社は3日、外貨建て国債の格付けを「BB+」に格下げ。これは、投機的格付けとしては最上位。ただ、財政状況や景気動向いかんではさらなる格下げもあり得ると警告した。また、ランド建て国債も「BBB」から「BBB-」に格下げされたが、投資適格水準を保った。格付け見通しはいづれも「ネガティブ(弱含み)」。南アランドは、対ドルで年初来安値を更新し、対円でも昨年の11月下旬以来、8円の大台を割り込んだ。

*今週の南アランド円は、上値の重い展開が続くだろう。昨年末にS&P社が、南アの格付けを据え置いたことで南アランドは上昇に転じたが、今回はズマ大統領によるゴーダン財務相の解任により真逆の展開となった。昨年はパフォーマンス第一位の南アランド円もこの2週間で形無しとなった。4カ月かかった上昇幅がわずか2週間弱で打ち消された。今週は製造業生産と小売売上高が発表されるが、経済指標に反応する状況ではないだろう。米大手金融機関は、もしムーディーズも格付けを引き下げた場合、南アから最大で100億ドルを超える資金が流出する可能性があると予想しているが、ムーディーズの格下げの前に資金が流出する可能性もある。格下げの理由として、ズマ大統領が内閣改造を断行後、同大統領の辞任を求める声が高まるなど政局が不安定になっていることが挙げられている。内閣改造により与党アフリカ民族会議(ANC)政権内の分裂が浮き彫りになり、最悪の事態としてズマ政権の政策続行が不可能になる恐れがある。景気や財政に悪影響を及ぼす可能性が高まっていると指摘されていることから、政権の安定が何よりも求められている。S&Pに続いて、ムーディーズやフィッチなど他の大手格付け会社も格下げを行う公算が大きく、実際に格下げとなれば南アランド円の一段安も考えられる。ただ、経常収支の改善や高金利としての魅力、資源価格の底入れなどは南アランドの強材料なので、過度に悲観する必要もないだろう。過去のパターンを見ても、南アランド円は暴落したところで下ヒゲとなり、底入れしている。

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予想レンジ:7.80円~8.20円


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