【ポンドドルは戻り一杯か】
*25日に発表された1-3月の国内総生産(GDP)改定値は前期比0.2%増と、速報値の0.3%増から下方修正され、昨年10-12月(第4四半期)の0.7%から大きく減速した。製造業に加え、英国経済で最も大きな比重を占めるサービス業も伸びが速報値から引き下げられた。輸出が1.6%落ち込み、純貿易は成長率に対して過去最低に並ぶ1.4ポイントのマイナス寄与となった。個人消費も弱まり、成長率への寄与度は2014年以降の最小を記録した。

4月の消費者物価指数(CPI)は+2.7%と3月の+2.3%より加速し、賃金上昇が鈍る中、家計状況が圧迫されることが予想される。1-3月のGDP改定値の下方修正は、英国の欧州連合(EU)離脱が経済に打撃になっている兆候とも言えるだろう。

6月8日に実施される英総選挙(下院、定数650)で、メイ首相率いる保守党が過半数議席を確保できない可能性が出てきた。調査会社ユーガブの報告によると、保守党は選挙前の330議席から20議席を失う可能性がある一方、労働党は30近く議席を増やす可能性があるという。そうなった場合、保守党は過半数の326議席に16議席足りなくなり、他党の協力が必要になる。

保守党は前回2015年の総選挙で、他党との差が17議席となった。この差が縮まれば、英国の欧州連合(EU)離脱交渉を進めるメイ政権にとって大きな打撃になろう。

メイ首相は18日、総選挙に向けた与党・保守党のマニフェスト(政権公約)で、高齢者の一部による医療費負担を増やす案を打ち出したが、これ以来、保守党のリードが急速に縮小しているという。一方で労働党は、22人の死者を出したマンチェスターでの自爆攻撃の一因が警察官の減少にあると批判し、警察官を1万人増員することを公約に掲げた。
 
メイ首相が4月に総選挙前倒しを発表した際は保守党の圧勝が予想されていたが、最近の世論調査では保守党の労働党に対するリードが縮小している。保守党の苦戦は、今後のハードブリジグットを連想させ、ポンドの上値を重くしよう。

日足チャートを見ると、昨年の英国のEU離脱を決める国民投票を行った6月24日以降の高値(1.5018ドル)と安値(1.1943ドル)にフィボナッチ比率を当てはめると、高値から0.62倍押しのライン(1.3112ドル)が戻り高値の上値抵抗線として作用しているようだ。

ポンドは戻り高値を確認して、再び下落基調に転換すると予想する。

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