【 東京金はジリ安 】
*先週のNY金は下落基調が強まり、1206ドル台まで下落し、およそ3ヶ月ぶりの安値をつけた。6月14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では今年2回目の利上げが決定され、バランスシート縮小も決定された。2重の意味で金融引き締めが行われることに加え、カナダ中央銀行、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE、英中銀)が相次いで利上げに前向きなタカ派的姿勢を見せたことで、金利を生まない金には下押し圧力がかかった。

7日に発表された6月の米雇用統計では、非農業部門就業者数が前月比22万2000人増と、前月の15万2000人増から伸びが加速し、市場予想の17万9000人増も上回った。これを受けて、為替市場ではドル高が進行し、ドル建て金に割高感が生じたNY金は1206ドル台まで下落した。良好な雇用統計を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)が想定する「年内あと1回」の利上げが強まるとの見方が、金相場を押し下げている。

今週はイエレンFRB議長の議会証言やインフレ率に関する経済指標が発表されるため、利上げを後押しするような見方が強まれば、金は一段と押し下げられる可能性がある。1200ドルの大台を維持できるかどうか注目される。

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*CFTC建玉7月3日時点:ファンドの金買い越しは9万3799枚(前週比-3万7873枚)と減少。総取組高は45万7201枚と前週比4057枚の増加。

*金ETF「SPDRゴールド・トラスト」の金保有高は、年初来最大量は867.00トン(6月8日)、年初来最小量は799.07トン(1月25日)。 7月10日時点は832.39トンで、年初来最小量からは4.2%増加。昨年の最大量は982.72トン(7月5日)。米国やカナダ、欧州、英国で相次いで利上げに前向きな発言が出たため、金には売り圧力が強まった。金ETFも840トンを割り込んだ。

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*NY金の下落基調が強まり、東京金もジリ安となった。ただ、米国の利上げ見通しの強まりを受けて、為替が円安で推移したため、東京金の下落率は、NY金の下落率より小さい。NY金は200日移動平均線を下回っているが、東京金は依然として200日移動平均線を上回っている。今週は、12日にイエレンFRB議長の下院での半期議会証言、13日に、6月米生産者物価指数(PPI)、イエレンFRB議長の上院銀行委員会での半期議会証言、14日に、6月米消費者物価指数(CPI)、6月米小売売上高等が発表される。利上げ見通しがさらに強まれば、ドル高・NY金安がさらに進行する可能性があろう。しかし、東京金は円安のサポートもあって、大幅な下落には至らないと予想する。下値の目安は200日移動平均線のある4400円前後になりそうだ。金相場にとっては弱材料が目立つ状況で、上値の重い展開が続きそうだ。

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*今週の予想レンジ:4400~4500円


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