【ドル円、今週の見通し】
*今週のドル円相場は上値の重い展開が続きそうだ。7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)はハト派的と受け止められた。28日に発表された米4-6月期国内総生産(GDP)速報値は、特に弱い内容ではなかったが、インフレ関連指標の低下を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)の懸念が示されたことで、市場は利上げ時期が後退すると見なしたようだ。28日夜に北朝鮮は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し、極東地域の地政学的リスクが高まった。28日は、朝鮮戦争休戦日(7月27日)の翌日にあたるため、米国はこれを危険な挑発行為と認識し、米韓軍事トップは軍事的な対応も選択肢にあると警告した。

週明け31日の東京市場は、さらにドル売り・円買いが優勢となり、一時110円20銭台まで円高が進行した。CMEのFED WATCHによると、9月の利上げ確率は1.4%に過ぎず、12月でも47.0%。今後の経済指標次第では、12月の利上げ確率も低下する可能性がある。これに地政学リスクへの警戒が加わるため、ドルには売り圧力がかかると予想する。

米国においても、トランプ大統領のロシアゲート疑惑、トランプ政権による貿易不均衡是正に対する圧力強化、米議会でのヘルスケア法案や債務上限引き上げ問題、これに関連してトランプノミクスの柱となる大規模減税やインフラ投資の審議・採決の先送り懸念などがドル売り要因となろう。

今週は重要な経済指標が複数発表される。悪い内容であれば、ドルは一段安となる可能性があり、下値支持線である110円を割り込むリスクに警戒したい。

<主な経済指標・イベント>
31日に6月の本邦鉱工業生産、1日に6月の米コアPCEデフレーター、7月の米ISM製造業景況指数、7月の米自動車販売、2日に米7月のADPP雇用統計、3日に月の米ISM非製造業景況指数、4日に7月の米雇用統計がある。特に、アPCEデフレーター、7月の米雇用統計が注目される。また、8月3日には安部内閣改造が予定されている。内閣支持率の低下を食い止めることができるどうか注目される。

*CFTC建玉7月25日時点:ファンドのドル買い・円売りは12万1489枚(前週比-5430枚)と減少。総取組高は23万5140枚と前週比1万4931枚の減少。

<強材料>
①.6月の米耐久財全体の受注額は6.5%増加と、2014年7月以来の大幅な伸び。市場予想は3.9%増だった。
②.4-6月期個人消費の増加。
③.海外原油相場が上昇。
④.日銀は、2%の物価目標達成時期を1年先送りし、超金融緩和の継続姿勢を示した。

<弱材料>
①.7月の米消費者マインド指数が、米国の景気や家計に対する見通しが悪化したため、9カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。
②.第2四半期PCEコアデフレーターの低下(0.9%、前回2.0%)
③.北朝鮮情勢を巡る地政学的リスクの高まり。

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予想レンジ:109.00円~112.00円




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