【豪ドル円、先週の動き・今週の予想】
*先週の豪ドル円は下落した。地政学的リスクの高まりやドル円の下落を受けて高金利通貨が売り戻された。豪州の最大の貿易相手国である中国の7月の輸出は前年比7.2%増、輸入が同11.0%増と共に市場予想を下回ったことも弱材料となった。

豪州の経済指標も7月のNAB企業景況感は+15と前月比と変わらず。しかし、8月のWESTPACK消費者信頼感指数は前月比1.2%に低下した。6月の住宅ローン件数は前月比0.5%増と伸びが鈍化した。豪ドル円は87台後半から一時85円40銭台まで下落したが、週末には86円台前半に戻して引けた。

*今週の豪ドル円は保ち合いで推移しよう。先週末、ロウRBA総裁は、半期に1度の議会証言で「次の金利変更は引下げではなく引き上げになるとの見方は理にかなっている。だがしばらく先になる」と述べた。利上げ局面に入ってもペースは緩やかになるとし、高水準の債務を抱える家計が受ける利上げの影響を政策当局者は認識していると説明した。

15日に公表されるRBA理事会議事要旨には、目新しさはなさそうだ。今週は4-6月期の賃金指数と7月雇用統計が注目される。市場予想では、賃金指数が前年比1.9%上昇と伸びが鈍化している一方、雇用者数が前月比2万人増に拡大、一方、失業率は5.6%と前月と変わらずの見通し。賃金指数が低迷すれば、低インフレ懸念から豪ドル売りが強まる可能性があろう。最近の経済指標は冴えなくなってきており、豪準備銀行(RBA、豪中銀)が早急に利上げに踏み切る可能性は後退している。

貿易面を見ても、豪州の主要産品である鉄鉱石の中国の輸入量は8625万トンと前月比で2.4%減少している。日足チャートでは、85円割れのレベルには100日と200日の移動平均線があり、このレベルではサポートされそうだ。一方、地政学的リスクが高いため、上値は抑えられるだろう。週明け14日に発表された7月の中国小売売上高は前年比+10.4%と予想や前回を下回ったが、2桁を維持したことでまずまずと見られ、豪ドルをサポートした。

<強材料>
①.先進国では高い金利があり、良好な債務状況、高い持続した成長率を受けて、海外からの投資資金が流入。
②.向こう10年間、750億豪ドルのインフラ投資を実施。

<弱材料>
①.RBAは早期の利上げを想定せず。
②.8月のWESTPACK消費者信頼感指数は前月比1.2%に低下。
③.7月のNAB企業景況感は+15と前月比と変わらず。


aud


予想レンジ:85.00円~88.00円


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