【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は上昇した。トランプ大統領の言動から現米政権への不信任からドルが売られた分、トルコリラが押し上げられた。

トルコ経済省の統計によると、欧州連合(EU)加盟国からトルコに対する国際直接投資の流入は、今年上半期には昨年同期と比べて61%増加して、17億ドルから27億ドルに増加したことが明らかになった。今年上半期のアジアからの投資流入額も、昨年同期と比べて138%増加したことが判明した。

先週末はジャクソンホールでのシンポジウムでイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を受けてドルが売られ、トルコリラ円が押し上げられ、週の高値圏で引けた。

*今週のトルコリラ円は上昇しよう。トルコリラの対ドル相場は、今年初めには1ドル=3.9422トルコリラとなり、史上最安値水準に達した。しかし、通貨安を懸念したトルコ中央銀行の(TCMB)の介入やエルドアン大統領のトルコリラ買いの呼びかけを受けて、トルコリラは対ドルで反発に転じた。トランプ大統領に対する政治的不透明感が強まるに連れてドルが下落すると、トルコリラの対ドル相場は2月に入って上昇に転じ、この6ヶ月半でおよそ8.0%上昇した。高金利を受けて海外からの投資資金がトルコに流入していることもあって、この傾向は今後も続いていくだろう。トルコリラ円にもようやく上昇の兆しが出てきたようだ。日足では200日移動平均線を上抜けてきている。32円の上値抵抗線をブレイクすれば一段と上昇していきそうだ。

2017年4月16日の国民投票で大統領権限集中の改憲案が承認され、政治的な先行き不透明感が後退したことが投資資金流入の背景にあるのだろう。トルコ国内の景気も好調に推移している。個人消費の増加を受けた内需の強さや、欧州向け輸出の増加により、2017年1-3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比+5.0%へ加速した。消費者物価指数(CPI)上昇率は4月にピークアウトし、7月には前年同月比+9.8%へ低下した。トルコ政府は成長重視の経済政策を続けているが、インフレ率の水準からしてトルコ中央銀行が金融緩和を行う可能性は低いだろう。主要な短期金利である「後期流動性貸出金利」は12.25%と高水準にあり、海外からの投資資金流入がトルコリラ相場をサポートしよう。

<強材料>
①.今年7月にトルコを訪問した外交人観光客数は昨年同月と比較して46%増加し、507万6000人となった。これにより今年1~7月の観光客の累計は、1732万5400人となった。これは、昨年同期と比べて22%の増加。
②.公務員と退職公務員のサラリー増額(2018年~2019年)に関して、政府と組合が合意した。2018年上半期はサラリー4.0%増額、下半期には3.5%増額、2019年上半期には4.0%増額、下半期には5.0%増額する。

<弱材料>
①.インフレ率はピークを打ったと思われているが、まだ水準は高い。
②.欧州関係がぎくしゃくしている。

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予想レンジ:31.00円~33.00円


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