【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は上昇した。11日、4~6月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期に比べ5.1%増えたと発表された。14日、トルコ中央銀行(TCMB,トルコ中銀)は、主要政策金利となる1週間物レポ金利を市場予想通りに8.00%に据え置くことを決定した。また、金利誘導レンジの上限となる貸出金利を9.25%、下限の借入金利を7.25%に据え置いた。

*今週のトルコリラ円は堅調に推移しよう。4~6月期のトルコ国内総生産(GDP)は、前年同期比5.1%増と2四半期連続の5%成長達成となった。信用保証基金の拡充による融資の拡大など政府の景気刺激策が奏功し、輸出の伸びも寄与した。昨年夏のクーデター未遂事件で冷え込んだ景気の持ち直しが鮮明となった。GDPの6割を占める個人消費は3.2%増と前期並みの伸びとなった。最大の貿易相手である欧州連合(EU)の景気回復を受け、輸出は10.5%増だった。

ナジ・アーバル財務相は好調なGDPを受けて、「今年の成長率は中期的な目標よりも高い」「国内需要や融資の増加、税率の引き下げが寄与した」と述べた。シムシェキ副首相も11日に、「消費者信頼感が回復し、信用保証基金が成長に貢献した」との声明を発表し、7~9月期も成長の勢いが持続するとの見方を示した。

ただ、トルコの経常赤字はGDP比で4.0%近くあり、国内で不足する資金を海外からの短期借り入れに依存しているため、欧州の量的金融緩和や原油価格の下落など投資環境が変わった際には、経済基盤の脆弱さが表れるとの指摘がある。

なお、今回の好調なGDP発表を受けて、国際的な大手金融機関は軒並み、トルコの2017年のGDP成長率を引き上げた。野村證券は4.2%から5.5%へ、モルガン・スタンレーは3.3%から4.3%へ、JPモルガンは4.6%から5.3%へとそれぞれ引き上げた。

<強材料>
①.7月のトルコ国内の工業生産は前年比同月比で14.5%増加。
②.トルコの銀行の今年の7月までの順利益は、前年同期比で27.5%増加。政府の景気回復策により銀行ローンが急増したことが要因。
③.8月までのトルコの機械輸出額は、前年同期比で6.8%増となった。
④.エルテム大統領主席経済顧問は、24日のドイツ総選挙後に、ドイツとトルコの緊張は緩和されるだろうとの期待を表明した。

<弱材料>
①.8月のトルコの年間インフレ率は10.68%達し、再び2桁台に上昇した。
②.トルコの経常赤字はGDP比で4.0%近くあり、国内で不足する資金を海からの短期借り入れに依存している。

予想レンジ:31.50円~32.50円

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