【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は軟化した。15日、エルドアン大統領は北イラクのクルド地域政府が独立の是非を問う住民投票を25日に実施することに対し、「地域の安定を損なう」として改めて反対し、これに関連して22日国家安全保会議を行うとした。

また、18日にトルコ軍は、トルコとイラクの国境で軍事演習を開始した。北イラクのクルド人が独立への賛否を問う国民投票に絡む混乱に備えての措置だが、トルコ外交部は国民投票中止を求めて外交努力を続けると述べた。

20日に終了した米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げ見通しが維持され、ドルが反発し、トルコリラは対ドルで下落した。ドル円の上昇がトルコリラ円をサポートしたが、地政学的リスクを受けて、やや売りが優勢となった。

*今週のトルコリラ円は、下落のリスクが高まりそうだ。
イラク北部の少数民族であるクルド人自治政府は、イラクからの独立の賛否を問う住民投票を日本時間25日午後2時から行う。独立賛成が多数になる見込みだが、イラク中央政府や周辺国は激しく反発し、地政学的リスクが高まる可能性がある。

ただ、クルド自治政府は、直ちに独立するわけではなく、民意を受けた形で中央政府との交渉に臨み、2年以内の独立を目指す考え。投票はクルド人自治区だけでなく、油田地帯のキルクークなど自治政府が実効支配しイラク中央政府と管轄権を争う地域でも行われ、イラク中央政府は国の分断につながるとして激しく反発している。

トルコやイランなどの周辺国も、自国のクルド人が刺激されて分離・独立の動きを強めることを警戒し、自治区に近い地域で軍事演習を行うなど牽制している。米国が投票を中止するよう働きかけ、国連も懸念を表明している。投票は日本時間26日午前0時(現地時間25日午後6時)まで行われ、早ければ現地時間26日にも結果が判明する見通し。

20日、訪米中のエルドアン大統領は、トルコはすでに欧州連合(EU)加盟に強い関心はないと述べた。今回の独立投票により、トルコ国内のクルド人が呼応することになれば、経済的な関係の深い欧州の反対にもかかわらず、エルドアン大統領は軍事行動を起す可能性があるだろう。その場合、地政学的リスクを受けてトルコリラは売りが優勢となる可能性がある。

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*予想レンジ:31.50円~32.50円


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