【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は下落した。25日、「国を持たない世界最大の民族」と呼ばれるクルド人を主体とするイラク北部の自治政府、クルディスタン地域政府(KRG)が、イラクからの独立の賛否を問う住民投票を行った。翌26日に投票結果が判明し、独立賛成が9割近くに上った。KRGは独立に向けた交渉をイラク政府と始めたいとの意向を表明した。しかし、この住民投票を「イラクを分裂させ、地域を不安定にさせる」と批判してきたイラク政府と隣国のトルコとイランは、投票を強行したKRGに対する対抗措置として軍事行動を仄めかし、緊張が高まり、トルコリラは下落に転じた。26日、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が講演で、年内あと1回の利上げに前向きな姿勢を見せ、ドルが上昇に転じると、トルコリラは下落に転じた。21日に発表された9月の消費者信頼感指数は8月の71.1から68.7に下落したことも、弱材料になった。

*今週のトルコリラ円は、保ち合いで推移しよう。先週はクルド人を巡る地政学的リスクやドルの上昇を受けて、トルコリラは下落したが、基本的に、トルコ国内の政治基盤が堅固になり、内需が堅調なことから、トルコリラは現在、底値形成の保ち合い期と見ている。大統領の権限を強める国民投票で賛成を受けてから、エルドアン大統領は、積極的に外遊し、海外の首脳と会談を行っている。

21日には国連総会出席のため訪米し、トランプ大統領と会談した。北イラクで行われたクルド人独立投票は、地域の安定を損なうとの認識で一致し、クーデター未遂事件に関連していると思われるギュレン氏の送還について協議した。

国内においては、25日に発表された8月の住宅販売件数は、前年同月比で+4.7%に増加した。27日には、シムシェキ副首相、アーバル財務相、エルバン開発相は、2018年から2020年までの期間の、成長、雇用、インフレ、1人当たりの国民所得に関する目標を含む新中期経済計画を発表した。シムシェキ副首相は、中期経済期間中の経済視聴率は5.5%を維持し、1人当たりの国民所得は同期間末までに1万3000ドルに達し、失業率は2018年に10.5%、2019年には9.9%になるとの見通しを示した。

トルコ政府は成長重視の経済政策を続ける意向で、当面、金融緩和に転じる可能性は低いだろう。トルコ中央銀行が民間金融機関へ資金供給する金利は、12%前後の高水準が維持される見通しであり、高金利を受けて海外投資資金が流入する可能性が高く、トルコリラをサポートしよう。

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*予想レンジ:31.00円~32.20円


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