10月17日(火)
【10月16日の海外相場および市況】
ny1017

*週明け16日のNY金は、利益確定の売りに押され、3日ぶりに小反落した。トランプ大統領は13日、2015年のイラン核合意について「イランが合意を順守しているとは認めない」と表明。中東地域の地政学的リスクが一段と高まっていることに加え、北朝鮮情勢をめぐる懸念なども依然くすぶっていることから、安全資産である金に買いが入りやすかった。ただ、その後は利益確定の売りが出たことから、マイナス圏に転落した。NY白金はドル高を受けて3日ぶりに反落。

*週明け16日のNY原油は続伸。イラク中央政府は16日未明、クルド自治政府が実効支配している産油都市キルクークに進軍を開始。キルクークはイラク屈指の油田都市であるため、中央政府とクルド自治政府による交戦で原油の供給が滞るのではないかとの懸念が広がった。 また、トランプ大統領が前週末、2015年のイラン核合意は国益に見合っておらず、「イランが合意を順守しているとは認めない」と表明。米国とイランの対立が深まる可能性が出ており、地政学的リスクが高まっていることも買い要因になった。ただ、イラク中央政府は政府軍がキルクーク油田で生産を行っている国営石油会社ノース・オイル・カンパニー(NOC)を管理下に置いており、同油田での生産は直ちに再開されたと表明。一方、クルド自治政府も原油輸出は引き続きパイプラインを通じて行われており、それを停止する措置は講じていないと明言したことから、供給不安が幾分和らぎ、昼前にかけて上げ幅を縮小した。また、為替市場でドルがユーロに対して強含みに推移していることもドル建て原油の割高感につながり、上値を抑えた。

*イラク軍部隊は16日、イラク中央政府とクルド自治政府が帰属を争う北部の油田都市キルクークの市街地に進攻した。州知事庁舎などを次々と掌握し、進軍開始からわずか1日以内に市内のほぼ全域を制圧したもよう。自治政府が9月に強行した独立を問う住民投票で深まった対立は軍事衝突に発展。独立阻止へ強硬姿勢を崩さない中央政府は軍用空港や油田、発電所など重要施設を制圧しており、キルクーク支配の奪還を内外に誇示したい考えとみられる。中央政府のアバディ首相は、キルクークを含む係争地でクルド旗を降ろし、イラク国旗のみを掲げるよう命令。報復を恐れたクルド系住民がキルクークから大勢退去する一方で、クルド実効支配に不満を抱いていた主にシーア派のトルクメン人らがイラク国旗を掲げて軍を歓迎した。また、クルド系メディア「ルダウ」は、シーア派民兵が交戦したクルド人兵士を斬首して殺害したと報道。事実とすれば、イラクで根深い民族・宗派対立が今回の軍事進攻を機に再び激しくなる恐れもある。

*週明け7日のシカゴトウモロコシは、低調な週間輸出検証高を受けて反落。シカゴ大豆は、利益確定売りで反落。

*週明け16日のNY外国為替市場のドル円相場は、前週末の米インフレ指標を受けた円買い・ドル売りの流れが一服し、米長期金利の上昇を受けて、112円台前半に上昇した。この日は、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が15日の講演で、年内の利上げを維持する考えを示唆したことが改めて意識されたほか、米長期金利が上昇したこともあって、ドル買いに弾みが付き、一時112円29銭まで上昇した。10月のNY州製造業景況指数は30.2と前月の24.4から上昇し、市場予想の20.7も上回った。

*週明け16日のNYダウは続伸し、最高値を更新した。前週発表された大手金融決算は総じて堅調で、今週以降発表される決算内容への期待感が高まった。また、13日に発表された9月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、低インフレへの警戒感が高まる中、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が週末15日の講演で、物価の弱さは「誇張されている」と述べ、年内の追加利上げが適切と示唆したことも買い安心感につながった。


【本日の主な経済指標およびイベント】
06:45 (NZ) 7-9月期消費者物価指数 (前期比) 0.0% +0.4% +0.5%
      (NZ) 7-9月期消費者物価指数 (前年比) +1.7% +1.8% +1.9%
09:30 (豪) RBA議事録
17:30 (英) 9月消費者物価指数 (前年比) +2.9% +3.0% --
17:30 (英) 9月小売物価指数 (前月比) +0.7% +0.3% --
      (英) 9月小売物価指数 (前年比) +3.9% +4.0% --
17:30 (英) 9月生産者物価指数 (前年比) +3.4% +3.3% --
18:00 (独) 10月ZEW景気期待指数 17.0 20.0 --
18:00 (EU) 10月ZEW景気期待指数 31.7 -- --
18:00 (EU) 9月消費者物価指数(HICP)・確報 (前年比) +1.5% +1.5% --
21:30 (米) 9月輸入物価指数 (前月比) +0.6% +0.6% --
22:15 (米) 9月鉱工業生産 (前月比) -0.9% +0.3% --
22:15 (米) 9月設備稼働率 76.1% 76.2% --
23:00 (米) 10月NAHB住宅市場指数 64 64 --
29:00 (米) 8月対米証券投資 +13億USD 

第137回 『おしえて陳さん』 
http://www.sunward-t.co.jp/movies/oshiete/