【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は下落した。メルケル首相は先週、トルコの欧州連合(EU)加盟準備金の削減を目指すと発表した。さらに、ドイツ政府はトルコとの政治的紛争が高まっていることを受けて、KFW銀行(ドイツ復興金融公庫)、欧州投資銀行や欧州復興開発銀行などに加え、一部のドイツの商業銀行にも、トルコへの投資や融資の減少を検討していることを明らかにした。ドイツはトルコ最大の経済パートナーであり、昨年の二国間貿易は360億ドルを超えているため、この報道を受けて、トルコリラは、ユーロに対して2.1%下落し、対円でも大幅安となった。

*今週のトルコリラ円は、軟調な展開が続きそうだ。ドイツや米国との不協和音を受けて、海外からの投資資金が流出する可能性があり、トルコリラ円は上値の重い展開が続きそうだ。ただ、トルコ経済自体は堅調であり、深押し懸念は小さいだろう。

トルコ中央銀行は26日開いた金融政策決定会合で、主な政策金利である翌日物貸出金利は9.25%、1週間物レポ金利は8.0%で据え置いた。事実上の上限金利として使用する「後期流動性貸出金利」を12.25%で据え置いた。金利据え置きは4会合連続。米政府が対イラン経済制裁への違反を理由にトルコの金融機関に多額の罰金を科すとの一部報道などを受け、為替市場では通貨リラの下落が進んでいるが、トルコ中銀は現行金利を維持した。エルドアン大統領は「高金利のせいでインフレ率が下がらない」などと述べて中銀に圧力をかけており、利上げは政治的に難しい。一方、米国が利上げ局面に入った中での利下げはリラ下落につながり、インフレ圧力を高める。トルコ中銀は身動きがとりにくくなっている。

25日、ユルドゥルム首相は、「エーゲ海経済フォーラム」において、トルコの2017年末の経済成長率が7.0%になる可能性もあるといい、第3四半期お成長率は2桁台も想定されると述べた。インフレ率に関しては、一桁台を維持するとの予測を明らかにした。

同日、アーバル財務相は、今後3年間で新たに320万人の雇用創出を目指しており、雇用者数は3140万人に増加すると述べた。これにより失業率は一桁台に低下する見込み。なお、7月の失業率は10.7%だった。


rira1031


*予想レンジ:29.00円~31.00円


情報提供:(株)みんかぶ
※チャートの著作権は、(株)みんかぶに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保障するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、(株)みんかぶは一切の責任を負いません。