【 東京金は、レンジの上限狙う動きか】
*先週のNY金は下落した。10月の消費者景気信頼感指数が前月から大幅上昇し、約17年ぶりの高水準を記録。同月のシカゴ景況指数(シカゴPMI)も予想を上回って6年半ぶりの高水準となり、米景気の堅調が確認された。トランプ大統領が公約に掲げる税制改革について「12月下旬のクリスマスまでに実現することを期待している」と表明。法人減税の引き下げペースが遅れるとの一部報道については、望んでいないと強調した。

1日に終了した米連邦公開市場委員会(FOMC)では、金融政策の維持が確認されたが、声明を受けて12月の利上げ観測が強まり、ドルが上昇したため、ドル建て金は割高感から売りが優勢となった。3日に発表された10月の米雇用統計では、非農業部門就業者数が前月比26.1万人増と、市場予想の31万人増を下回わり、平均時給の伸びも前年同月比2.4%増と前月の2.9%増から伸びが鈍化したこれを受けてドルが急落したものの、内容的にはさほど悪くないとの見方に加え、10月の米ISM非製造業景況指数が上昇したため、ドルは買い戻され、NY金は1270ドルを割り込んで引けた。

nyg1107

しかし、週明け6日は、為替市場でドル売り・ユーロ買いが進行したため、反発した。また、サウジアラビアでは次期国王と目されるムハンマド皇太子が汚職関与を理由に王族メンバーや閣僚らを多数拘束するなど「粛清」に動いているため、サウジ情勢に対する先行き不安が浮上したことも安全資産とされる金には支援材料となった。この結果、NY金は1260ドルの下値を固める展開となった。長期上昇トレンドラインの上で下げ止まったため、値固めに入ったといえそうだ。


*CFTC建玉10月31日時点:ファンドの金買い越しは19万30954枚(前週比+17109枚)と増加。総取組高は53万19134枚と前週比5244枚の増加。

etf

*金ETF「SPDRゴールド・トラスト」の金保有高は、8月7日に年初来最小量786.87トンとなったが、8月14日から増加に転じ、11月6日時点では845.75トンとなった。NYダウが史上最高値を更新する中、安全資産である金は買いが細り、850トン台を下回った。年初来最大量の867.00トン(6月8日)を更新するには、時間がかかるかもしれない。ただ、地政学的リスクや政治的不透明感から、安値では買いが入っているようだ。また、季節要因的に、これからクリスマスに向けて現物需要が増える可能性があり、金ETFも増加していく可能性がある。

*6日時点のCMEのFED WATCHによると、12月の利上げ確率は96.3%に達した。次期FRB議長にはハト派と目されているパウエルFRB理事が任命された。良好な米国経済や好調な企業業績を反映してNYダウは連日史上最高値を更新し、2万3500ドル台に上昇した。このような環境で、金が投資対象となるのは難しく、NY金は軟調な地合いが続いている。

だが、NY金が1260ドル台で下げ止まり、値固め局面に入っていることは注目されよう。潜在的な不安要因が金相場をサポートしているといえよう。鳴りを潜めている北朝鮮情勢やサウジアラビアやイランを巡る中東の新たな地政学的リスク、バブルかもしれない米国の株価等々。季節要因的にも、年末需要に向けて金相場は堅調に推移する傾向がある。東京金はこれに為替の円安が加わって、4600~4700円のレンジ内ではあるが、堅調に推移している。レンジの上限を伺う展開もそう遠くはないだろう。

tkg1107


*今週の予想レンジ:4600~4700円


情報提供:(株)みんかぶ
※チャートの著作権は、(株)みんかぶに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保障するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、(株)みんかぶは一切の責任を負いません。