【 東京金は、レンジ相場が続きそう】
*先週のNY金は、感謝祭休暇を控えて手仕舞い売りが優勢となった。一方、サポート要因が複数あり、下げ幅は限定的だった。

トランプ大統領が北朝鮮をテロ支援国家に再指定したことを受けて朝鮮半島情勢が再び緊張するとの見方が強まった。ドイツのメルケル首相が模索してきた連立交渉の決裂により同国の政局不透明感が広がった。

22日に公表された10月31日、11月1日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、12月の追加利上げはほぼ確実視されていることが明らかになったものの、インフレに関しては一時的かどうか慎重に見極める必要があるとの認識が示されたことから、来年の利上げペースが緩やかにとどまるとの観測が台頭した。こうした要因からドルが売られ、金は押し上げられた。また、史上最高値を更新し続けている株価が下落に転じる懸念や、米長期金利が切り下がっていることも金買い要因となった。

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*CFTC建玉11月21日時点:ファンドの金買い越しは20万1827枚(前週比+6743枚)と増加。総取組高は53万1612枚と前週比1442枚の減少。

*週明け27日のNY金はドル安を受けて1290ドル台に反発した。ただ、ドル円が111円台と円高基調で推移しているため、東京金の上げ幅は小さい。レンジ相場の下限に達していることや、昨年10月11日を起点とする上昇トレンドラインに接近しているため、テクニカル的には反発が期待されるところ。

来月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが行われる見込みで、相場にはほぼ織り込まれているため、利上げによって金相場が反落する可能性は低いだろう。むしろ、2015年12月、2016年12月のFOMCで利上げが決定された後に「ドル安・NY金高」となっている展開を思い起こせば、来月もこのパターンが繰り返されると予想する。

今週は、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の後任となるパウエルFRB理事の上院での公聴会がある。ハト派と見られているが、現在の路線を引き継ぐ旨を述べると見られている。市場は、来年の利上げペースがFRBの想定通りに年3回になるのか、それとも緩やかになるのかに注目している。今後のインフレ率と雇用情勢次第だが、来月のFOMC声明で、その手がかりを探ることになろう。

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*今週の予想レンジ:4580~4680円

*金ETF「SPDRゴールド・トラスト」の金保有高は、8月7日に年初来最小量786.87トンとなったが、8月中旬から増加に転じ、11月20日時点では842.21トンとなった。NYダウが史上最高値を更新する中、安全資産である金は買いが細り、850トン台を下回る状態が続いている。年初来最大量の867.00トン(6月8日)を更新するには、時間がかかるかもしれない。ただ、地政学的リスクや政治的不透明感から、安値では買いが入り、減少にもやや歯止めがかかってきたようだ。季節要因的にも、これからクリスマスに向けて現物需要が増える可能性があり、金ETFは増加していく可能性はある。

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