【 東京金は、レンジの下限に接近】
*先週のNY金は下落した。北朝鮮が弾道ミサイル1発を発射したとの報を受けて、地政学的リスクへの警戒感が一時的に再燃し、瞬間1300ドルをつけた場面もあった。しかし、良好な米経済指標と、法人税減税法案が上院で通過するとの見込みが高まったことから、ドルが買われ、金は売りが優勢となった。7~9月期の米実質国内総生産(GDP)改定値は季節調整済み年率換算で前期比3.3%増と3年ぶりの大きさとなった。米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長に指名されたパウエルFRB理事による指名承認のための上院公聴会では、緩やかな利上げの継続と金融規制緩和に取り組む方針を明らかにした。米共和党のマケイン上院議員が、修正協議中の税制改革法案について支持を表明したことで、上院での法案可決の見通しが高まった。可決のために造反者を2人以下に抑える必要があるが、重鎮のマケイン氏が支持に回ったことで可決の可能性が高まったと受け止められた。NY金は上値の重い展開となり、上昇トレンドラインに接近してきた。ここでサポートされるか、このサポートを割り込むかのポイントに来ており、来週のFOMCの結果を受けてどう動くのか、注意したいところ。

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*CFTC建玉11月28日時点:ファンドの金買い越しは22万4417枚(前週比+2万2590枚)と増加。総取組高は50万3810枚と前週比2万7802枚の減少。

*週明け4日のNY金は反落。米上院(定数100)は2日、法人税減税を柱とする税制改革法案を賛成51、反対49で可決した。為替市場ではドル買い・ユーロ売りが優勢となり、ドル建て金は割高感から売りが優勢となった。上下両院でそれぞれ可決された税制改革法案は今後、内容を一本化した上で議会通過を図る必要があるが、年内の改革実現に向けて前進しており、株式などリスク資産への投資意欲が一段と高まっているため、安全資産である金からは投資資金が流出している。

また、12、13日に開催されるFOMCでは、利上げが決定される見込み。これ自体、相場にはほぼ織り込まれているが、次期FRB議長となるパウエル氏は、イエレン議長の政策を踏襲して、金融引き締め策の継続を言明した。インフレ率の低迷が懸念されてはいるが、金融当局のタカ派的発言は金相場の上値を抑えよう。東京金は、一時4600円を割り込む場面もあり、地合いが弱くなっているようだ。上昇トレンドラインに接近しており、13日の利上げ決定で、サポートされて反発するか、サポートを割り込むのか、重要な分岐点に来ていると言えよう。

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*今週の予想レンジ:4560~4660円

*金ETF「SPDRゴールド・トラスト」の金保有高は、8月7日に年初来最小量786.87トンとなったが、8月中旬から増加に転じ、12月4日時点では846.93トンとなった。NYダウが史上最高値を更新する中、安全資産である金は買いが細り、850トン台を下回る状態が続いている。年初来最大量の867.00トン(6月8日)を更新するには、時間がかかるかもしれない。ただ、地政学的リスクや政治的不透明感から、安値では買いが入り、減少にもやや歯止めがかかってきたようだ。季節要因的にも、これからクリスマスに向けて現物需要が増える可能性があり、金ETFは増加し始めているようだ。


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