【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】

*先週のメキシコペソ円は下落した。米上院が税制改革法案を可決したことを受けて、トランプ大統領の景気刺激策への期待感などから、米ドルが買われる展開となり、メキシコペソは下落した。

米国のシェールオイル生産が拡大するとの懸念から原油価格が下落したこともメキシコペソには重石となった。2018年のメキシコ大統領選出馬のため財務公債相を辞任したミード氏が、与党・制度的革命党(PRI)の正式な候補者に選出された。

*今週のメキシコペソ円は、保ち合いが続きそうだ。メキシコ銀行(中銀)は、11月9日の金融政策会合で、政策金利である翌日物金利を7.0%で据え置いた。6月の利上げを最後に3会合連続で据え置いた。インフレ率は小幅低下しているが、依然として中銀の目標を上回っている。ただ、10月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比+6.37%と落ち着いてきているようだ。

7-9 月期の実質国内総生産(GDP)は、大地震の影響もあって前期比-0.2%と、7 期ぶりのマイナスとなったが、10-12 月期には持ち直すと見込まれている。景気の先行きについて、中銀は下方リスクが大きいとして見ているようだが、今後の復興需要や原油価格が年初よりも上昇していることもあって、持ち直す可能性は高いだろう。インフレ率を引き下げるため、しばらくは金利を高めに維持する見込み。今週14日の金融政策会合では、米国に併せて利上げする可能性が取りざたされている。

一方、北米自由貿易協定(NAFTA)は難航が予想される。メキシコ政府は、米国が提唱している北米自由貿易協定(NAFTA)が定める自動車セクターの原産地規則を強化する案について、実行不可能であるばかりか、北米自動車産業にとって大きな打撃となる可能性が高いとみているようだ。トランプ政権は米国製の部材調達比率を50%以上にすることや、域内部材比率を現行の62.5%から85%に引き上げることを提案している。

しかし米自動車産業がこれに反対しているほか、下院の超党派議員70人強が書簡で異議を唱えた。11月15-21日の日程でメキシコ市で開催されたNAFTA再交渉第5回協議では、加盟3カ国が協定更新で合意しない限りNAFTAが5年後に自動的に失効するとした米国案について、米代表団は譲歩する姿勢を示していないため、目標とする来年3月までの妥結は困難となった。次回、第6回協議は来年1月23-28日に開催される予定。

mex


*予想レンジ:5.90円~6.10円


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