【 東京金は、4500円を維持して反発】
*先週のNY金は反発し、節目の1250ドルを回復して週を終えた。12日に発表された11月卸売物価指数(PPI)は、前月比0.4%上昇、コア指数0.3%上昇といずれも市場予想を上回った。13日に発表された11月消費者物価指数(CPI)は前月から0.4%上昇したものの、コア指数は0.1%上昇と予想の0.2%上昇を下回った。

13日に終了した米連邦公開市場委員会(FOMC)では、米連邦準備制度理事会(FRB)が市場の予想通り政策金利を0.25%引き上げ、年1.25~1.50%にすることを決定した。FOMC参加者による2018年の利上げ想定回数は3回のまま据え置かれ、利上げペースが加速しないことが確認された。声明が予想されたほどタカ派的な内容にならなかったとの見方から、NY金は反発に転じた。

第3四半期の国内総生産(GDP)成長率が加速し、インフレ上昇を示す指標も出たことから、一部では2018年の利上げペースに関して、想定よりも加速するとの見方もあって、FOMC前にはドルが買われ、NY金は売られ一時1238.3ドルまで下落した。しかし、FOMC声明がハト派的と見なされ、ドルが売り戻された。米長期金利の下落もあって、NY金は買い戻されたようだ。

nyg1219

*CFTC建玉12月12日時点:ファンドの金買い越しは10万7068枚(前週比-6万6261枚)と減少。総取組高は44万6618枚と前週比2万6177枚の減少。


*2015年12月、2016年12月はぞれぞれ、米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定されたが、その後のNY金は反発して上昇基調に転じている。今年も利上げ決定後にNY金は反発しているが上値は重い。

これは、米上下両院での税制改革法案の採決が近づいたと見られていることや、税制改革による大幅減税の景気浮揚効果などを見込んで米長期金利が上昇していることが金相場の重石となっているためだ。税制改革法案の年内可決の可能性が高まり、NYダウは史上最高値を更新している。

トランプ大統領は共和党による米税制改革が完成すれば、米経済成長率は「4.0-5.0%、6.0%に達することさえ可能」との見方を示した。税制改革法案の最終案では、来年に法人税率を35%から21%まで引き下げることや、企業が海外に留保した現金を米国に環流(レパトリエーション)する際の税率を1回限り、現行の35%から8.0〜15.5%に引き下げることなどが盛り込まれた。全体の減税規模は10年間で約1兆5000億ドル(約169兆円)に上る見込み。

特に、海外資産のレパトリは大きなドル需要となるため、ドル相場の下値はサポートされそうで、ドル建て金は上値が重くなる可能性がある。

東京金に関して言えば、ドル円の上昇基調が下値を支える格好になりそうだ。東京金日足は8月下旬に生じたギャップを埋めたものの、4500円台は維持して反発した。押し目を形成した可能性が高く、年末にかけてじり高で推移すると予想する。

tkg1219

*今週の予想レンジ:4500~4600円


金ETF「SPDRゴールド・トラスト」の金保有高は、8月7日に年初来最小量786.87トンとなったが、8月中旬から増加に転じ、ドルの下落に連れて9月28日には864.55トンまで増加した。しかし、米長期金利が上昇に転じると、再び減少し始め、12月18日時点では837.2トンとなった。年初来最大量の867.00トン(6月8日)。NYダウが史上最高値を更新する中、安全資産である金は買いが細り、840トン台を下回った。ただ、株価上昇に対する懸念や地政学的リスクへの不安から、減少のペースは緩やかに留まっている。

etf


情報提供:(株)みんかぶ
※チャートの著作権は、(株)みんかぶに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保障するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、(株)みんかぶは一切の責任を負いません。