【 東京金は上昇相場継続中】
*NY金は昨年12月12日の1238.3ドルを底値に反発し、昨日は一時1340ドルと4カ月ぶりの高値をつけた。1カ月にも満たない期間で8%も上昇した。このわずかな間に金を押し上げる強材料は何があったのか振り返りたい。12月13日は昨年3度目の利上げが決定された。5日に発表された昨年12月の米雇用統計では、失業率は前月並みの4.1%、非農業部門就業者数は前月比14.8万人増と市場予想(19万人増)を下回ったが、物価動向の先行指標となる平均時給は前月比0.09ドル増だった。

良好な雇用統計は、利上げペースを加速させるとして金には弱材料となる。しかし、昨年12月14日に開催された欧州中央銀行(ECB)定例理事会議事要旨で、金融政策に関する声明文を2018年の早い時期に成長見通しの改善とともに段階的な修正が必要との意見が示された。金融政策に関する表現の変更は、2兆5500億ユーロ規模の資産購入の段階的な縮小が始まる兆しと解釈される可能性から、タカ派的と受け止められ、ユーロが急上昇し、NY金はドル安による割安感から押し上げられた。

また、2017年12月消費者物価指数(CPI)が前月比0.1%上昇にとどまったが、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は0.3%上昇と、11カ月ぶりの伸び率を記録したことが強材料視された。インフレ指標の上昇から、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げペースが加速するのではないかとの見方が浮上し、インフレヘッジとしての側面から金が買われた。さらに、メルケル独首相率いる保守系のキリスト教民主・社会同盟と第2党の中道左派・社会民主党(SPD)が連立政権継続に向け協議入りすることで合意したことから、ユーロが3年ぶりの高値に上伸したことも強材料になった。1350ドルが目前に迫ったが、RSIが75%近くまで上昇し、高値警戒感も強まる局面となった。ただ、移動平均線は上向きで推移しており、押し目は買われる展開が続きそうだ。

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*NY金予想レンジ=1330~1350ドル

*CFTC建玉1月9日時点:ファンドの金買い越しは20万3288枚(前週比+4万0020枚)と増加。総取組高は55万5455枚と前週比5万4724枚の増加。

*東京金は、NY金の連騰を受けて12月18日から1月5日まで12日連騰となった。この間の金融面の変化と言えば、米長期金利の上昇とドル指数の低下だろう。米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年3回の利上げを行い、2018年も3回の利上げを想定している。また、日銀が国債買い入れオペで超長期債の購入額減額の報道や中国が米国債の購入を控えるとの報道(後に否定)により、米長期金利が上昇し、ドル売りが強まった。

また、欧州ではドイツの連立政権協議にメドが付き、ユーロが対ドルで3年ぶりの高値をつけたことも、ドル建て金の割安感を強め、金買いに拍車がかかった。NYダウが連日史上最高値を更新しているため、リスクヘッジとして金を買っている可能性もある。昨年末からビットコインが急落していることも安全資産としての金を再確認した面もあろう。しかし、金は本来、インフレヘッジとして機能がある。原油価格が大幅に上昇し、国際商品指数のCRB指数は昨年の高値を上回った。金価格が上昇しているということを単純に考えれば、低インフレで苦しんでいた先進国経済の状況が転換点に来ていることの兆しかもしれない。

*東京金はRSIが80%近くまで上昇し、反落したものの、4700円でサポートされて反発している。過去の相場水準からレンジが切り上がる時、押し目は小幅に留まるパターンが多い。押し目買いが優勢な状況が続くだろう。

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東京金予想レンジ:4700~4800円。

*2017年の金ETF「SPDRゴールド・トラスト」の金保有高は、最大量867.00トン、最小量786.87トンだった。NYダウが史上最高値を更新し、米長期金利が上昇する中、安全資産である金は買いが細り、830トン台を下回った。金相場は上昇に転じているが、現物需要がそれに応じて増加していない点が気にかかる。例年1月からは、中国やアジア圏での旧正月需要が期待される。


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