【ドル円相場、今週の展望】
*今週のドル円は、上値は重いものの、下値も堅い展開になりそうだ。週明け5日の東京市場のドル円は、110円を割り込み、109円台後半で推移している。2日に発表された1月の米雇用統計は、非農業部門就業者数が前月比20万人増と市場予想の18万人増を上回った。失業率は4.1%と4カ月連続で低水準を維持。インフレ指標として注目されている平均時給は、前年同月比2.9%増と2009年6月以来の大きな伸びとなった。米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げペースが加速するとの見方が強まった。これを受けて米債券市場では売りが強まり、長期金利は2.85%台と2014年1月以来、約4年ぶりの高水準を付けた。金利移動平均線急上昇を嫌気してNYダウは前日比665ドル安と約9年ぶりの下げ幅を記録した。
週明けの日経平均株価はNYダウの大幅安を受けて500円以上下落し、為替市場では、リスク回避の円買いが強まったようだ。およそ10日ぶりの110円台をつけたものの、ドル円の上値は重かった。米長期金利に関しては、このまま2.9%、3.0%と上昇していくのか、そして、ドルがそれに追随して上昇していくのか不透明感が強い。
むしろNYダウの大幅下落を受けて、世界の株式市場が連れ安となればリスク回避の円買いが強まるだろう。
6日に発表される12月の米貿易収支で対日貿易赤字が拡大している事が判明すれば、トランプ政権による対日貿易不均衡是正圧力が強まることが懸念され、円高に振れやすくなるだろう。
日本の対米貿易黒字は、2016年は6.8兆円、2017年は7.0兆円と拡大傾向にある。8日には、2018年度暫定予算のつなぎ予算の期限となるが、つなぎ予算の先送りが予想されている。
しかし、3月には債務上限引き上げ問題が再浮上する可能性がある。一方、長期金利の上昇や利上げ見通しの加速はドル円のサポート要因になろう。
サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は2日、FRBが今3回、もしくは4回の利上げを実施する可能性はいずれも「妥当」と語った。同時に、利上げ回数は経済指標次第との考えを示し、経済指標からは、年内に緩やかなペースでの利上げが必要との見通しを変更するような材料は確認していないとした。同総裁は、インフレ率について、FRBの目標である2.0%を超えて上昇しても驚かないとした。なお、イエレンFRB議長は3日に任期満了し、パウエル議長が4日に就任した。
*CFTC建玉1月30日時点:ファンドのドル買い・円売りは11万4696枚(前週比-8174枚)と減少。総取組高は26万0237枚と前週比1万9101枚の増加。
<主な経済指標>
5日に米ISM非製造業景況指数、6日に米貿易収支、8日に中国貿易収支、9日に中国消費者・生産者物価指数がある。9日には、第23回冬季オリンピック平昌大会開幕。
*予想レンジ:109.00円~111.00円
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