【 東京金は底値近いと予想】
*先週の金融市場は荒れた。契機となったのは2日に発表された1月の米雇用統計だった。就業者数、失業率が良好な中、平均時給が予想以上の伸びとなったことを受けて、インフレ率が予想外に高進しているとの見方が強まり、米長期金利が2.8%台に急騰した。これを嫌気した株式市場では利益確定売りが殺到し、2日のNYダウは600ドル以上も下落して引けた。週明け5日もこの流れが続き、NYダウは一時1500ドル近く下げるなど史上最大の下げ幅を見せ、恐怖指数VIXは一時50ポイント台をつけた。乱高下を繰り返しながらも次第に落ち着いてきたが、VIXが依然として平穏状態である20ポイントを上回っており、市場の疑心暗鬼は拭えていない。

さて、こうしたリスクオフの状態であれば、安全資産である金へ投資資金が向かうと期待されたが、売りが優勢の展開となった。ただ、下落率は小さく、ボラテリィティは株価に比べれば小さかった。防御的資産と考えれば、ポートフォリオの一部としての機能は果たしたとも言えるだろう。金ETFは減少し、危機的状況にあって、投資家は総じて「Return to cash(現金への回帰)」となったようだ。

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NY金日足を見ると、9日の安値1309ドルは50日移動平均線にサポートされて反発している格好になっている。上値は20日移動平均線に抑えられているが、これを上回れば、上昇相場が再開しよう。逆に、1300ドルの節目を下回れば、50日移動平均線も割り込むため、ファンドの売りが活発化し、下落基調が強まる可能性があろう。

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*NY金予想レンジ=1300~1350ドル

*CFTC建玉2月6日時点:ファンドの金買い越しは19万0877枚(前週比-1万6385枚)と減少。総取組高は53万5321枚と前週比2万4011枚の減少。

*米国のインフレ上昇懸念から、米長期金利が急騰し、世界の金融市場が混乱に陥った。世界的な株安から、市場はリスクオフ状態となり、安全通貨と目される円が買われた。3連休明けもこの流れは継続し、日経平均株価の下落もあって14日にドル円は107円を割り込んだ。ドル建て商品価格はドル安を受けて上昇する傾向があるが、急激な円高はこの上昇を完全に打ち消してしまった。

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東京金は4600円を割り込んだ。市場は、14日発表の1月米消費者物価指数(CPI)に注目している。予想では、総合指数が前月比0.3%上昇、変動の激しいエネルギーと食料品を除いたコア指数は0.2%上昇が見込まれている。インフレ率の高まりが判明すれば、米長期金利が上昇し、株安が予想される。株安はリスクオフを招き、「ドル安・NY金高」が予想される。東京金はドル安・円高が上値を抑えるが、NY金の上昇が下値を支えよう。東京金日足は、相対力指数(RSI)が30%台まで下落してきており、売られ過ぎの状態が近づいている。昨年12月に形成された押し目ゾーン(4510~4550円)が意識されて、下げ渋ってきそうだ。まだ戻り売りが優勢なものの、下げ止まりは近い可能性がある。

*東京金予想レンジ:4550~4650円。


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