【トルコリラ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のトルコリラ円は下落した。地政学的リスクがトルコリラの上値重くしている。トルコ軍がシリア北西部アフリンを支配するクルド人勢力である人民防衛部隊(YPG)に先月から越境攻撃を続けているが、アサド政権を支持する民兵組織がYPGの援軍としてアフリン入りした。

シリアのアサド政権を支持する民兵組織は21日、アフリンに入った。体制派の指揮官は、ロシアがシリア軍のアフリン入りを遅らせようと介入したため、代わりに武装した民兵組織がアフリンに入ったと説明。

一方、トルコ政府は、YPGを支援するためアフリンに入った体制派の部隊に対し、「重大な結果」に直面すると警告した。エルドアン大統領の報道官は、シリアの体制派や他の集団によるこちら側へのいかなる行為も重大な結果を招くと述べた。

アフリンでは、トルコ軍がアサド政権側の部隊と直接対峙する格好となり、シリア内戦を巡り対立する米国とロシアを含めた各勢力の関係はいっそう複雑になっている。もしアサド政権がもしシリア正規軍を派遣すれば、トルコ軍との大規模な衝突が懸念される。これを避けるためエルドアン大統領は、ロシアのプーチン大統領とイランの・ロウハニ大統領とシリアにクルド支援をしないように要請したという。

先週の経済指標は、2月消費者信頼感指数72.25(前回72.30)、2月景気動向指数110.8(前回110.9)、2月設備稼働率77.8%(前回78.2%)だった。

*今週のトルコリラ円は、上値の重い展開が続くだろう。格付け会社S&P社は24日、トルコの格付けを「BB」で据え置き、見通しを「ネガティブ」とした。今後に関しては、景気減速による財政赤字の拡大によって格下げするる可能性を警告した。ただインフレと通貨安が改善されれば、見通しを「ネガティブ」から「安定」に引き上げることができると述べている。経済成長率に関しては、2018年4.0%、2019年3.2%になると予測している。今後のカギはやはりインフレ率の低下にありそうだ。ただ、この格付けに関してエルドアン大統領は、何の役にも立たないと腹を立て謝罪を求める発言をしている。

地政学的リスクに関しては、複雑化したトルコの「オリーブの枝」作戦がいつどのような形で終結するのかがポイントになろう。これが平和裏に終了すれば、トルコリラ浮上のきっかけになるかもしれない。アサド政権が敵対していたクルド人勢力を支援すると表明したことで、トルコの立場は微妙になってきた。トルコがアフリンでクルド人勢力とさらに戦闘を続けた場合、アサド政権のみならずそのバックにいるロシアやイランと敵対することになる。しかし、トルコが今回の軍事作戦で米国に強硬姿勢を貫けたのは、ロシアの後盾があったからだろう。エルドアン大統領は自国でクルド人勢力を「テロ組織」として攻撃を正当化して支持を伸ばしてきたが、ロシアの仲介で、「オリーブの枝」作戦を早晩切り上げる可能性はありそうだ。

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【トルコリラ経済指標】
*2月26日月曜日
19:30 トルコ1月自動車生産前年比前回-3%

*2月27日火曜日
16:00トルコ経済信頼感  前回104.9

*2月28日水曜日
16:00トルコ1月貿易収支 前回-92.1億USD  予想-91.0億USD
17:00トルコ1月観光客数前回30.84%
20:30トルコ12月住宅価格指数前年比 前回+11.33%

*3月1日木曜日
16:00トルコ2月製造業PMI 前回55.7


*予想レンジ:27.80円~28.40円

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