【南アランド円相場、先週の動き・今週の展望】
*先週の南アランド円は、2015年8月以来の高値まで大幅上昇した。ズマ大統領が辞任し、ラマポーザ新大統領の経済政策が注目を集める中、南アフリカの予算案が関心を高めた。

ラマポーザ新政権は25年ぶりに付加価値税(VAT)を14%から15%に引き上げることを発表した。財政赤字に苦しんでいた南アフリカ経済にとっては良い材料と捉えられ、南アランドは買いが優勢となった。また、

これに関連して、ギガバ財務相は、VATの引き上げは、国にとってオプションがなかった結果であり、債務が国のGDPの60%まで到達してはいけないとした。ただ、更なる格下げがリスクになると認識しており、格付け会社ムーディーズによる格下げの回避が当面の焦点だとした。

*今週の南アランド円は、堅調に推移しそうだ。汚職にまみれたズマ前大統領の政権下で景気が悪化し、通貨南アランドが下落していたことを背景に、昨年、格付け会社S&P社は、同国の格付けをジャンク級に引き下げており、投資適格級はムーディーズのみとなった。ムーディーズは南アの格付けを引き下げ方向で見直し、3月23日までに発表すると表明している。

しかし、南アフリカ財務省は21日、付加価値税(VAT)の税率引き上げを発表し、財政再建を進める姿勢を示したことで、同国は米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスから格付けをジャンク級に引き下げられるのを回避できるとの期待が広がっている。15日に就任したラマポーザ大統領は市場からの人気が高く、VATの引き上げと債務削減への決意を示したことで、さらに信認が強まった格好だ。

市場は、ムーディーズによる格下げの可能性を後退させており、それが南アランド買いにつながっている。VATを1%引き上げた場合、229億南アランドの歳入増加につながると試算されている。増税は低所得者層を中心に消費を抑え、景気が悪化する可能性もあるが、財政問題の早期解決を目指し、財政不安を解消することで海外からの投資を促すことを新政権は目指している。

なお、燃料や高級品に対する税金も引き上げられる一方、向こう3年にわたって歳出は抑制する。財務省はまた、今年の経済成長率見通しを1.5%と従来の1.1%から上方修正し、2017年の推定1.0%から加速すると見込んでいる。政策の確実性と投資呼び込みを狙った措置が効果を発揮し、2020年には成長率が2.1%に達する公算が大きいとの見方も示した。今週は27日に1月貿易収支が発表される。

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*予想レンジ:9.10円~9.30円

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