【ドル円相場、今週の展望】
*今週のドル円は、保ち合いとなりそうだが、ドル円の上値は重そうだ。週明け12日の東京市場のドル円は、財務省による森友決済文書の書き換えを認める方針を受けて、麻生副総理兼財務相の進退に及ぶ可能性が取り沙汰されているとの報で急落する場面があった。麻生副総理兼財務相が辞任した場合、安倍政権への信任低下からアベノミクスによる株高・円安のシナリオが後退する可能性が高まり、円高基調に転換しよう。逆に、佐川氏の辞任で幕引きとなり、麻生副総理兼財務相の進退に塁が及ばない場合は、円安基調に転換しよう。

ただ、佐川氏辞任の場合でもトランプ政権の保護主義への警戒が強いため、ドル円の上値は重くなりそうだ。

米国の輸入制限の正式決定を受けて今後、欧州や中国などが対抗措置を講じる可能性があり、報復関税といった貿易戦争に発展する懸念が強い。トランプ大統領は8日、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限措置の発動を正式に決定したが、カナダとメキシコの2カ国を除外対象国(後にオーストラリアも)にしたが、日本や欧州など他の国については今後協議が必要とした。欧州や中国は報復措置を講じると言明している。

世界各国が米国の保護主義政策にどう対応するのか、様子見状態が続くと予想され、積極的にドルが買える状況にはないだろう。3月期末に向けての本邦企業のレパトリ(資金の本国還流)も円買い要因になる。

また、北朝鮮情勢に関してはトランプ大統領が米朝首脳会談の要請を受諾したことを受け、北朝鮮をめぐる地政学リスクは後退したが、首脳会談が行われる5月まではまだ日にちがあり、次第に先行きの不透明感が強まりそうで、当初の楽観的な見通しは後退しそうだ。

先週9日に発表された2月米雇用統計では、非農業部門就業者数が前月比31.3万人増と市場予想の20万人増を大幅に上回り、増加幅は1年7カ月ぶりの高水準を記録した。失業率は4.1%と前回から横ばい。市場が注目するインフレ指標の一つである平均時給が0.1%上昇と市場予想の0.2%上昇を下回ったため一時107円06銭をつけ、3月1日以来の高値をつけた。

しかし、賃金の伸びが予想を下回ったため、ドルは伸び悩んだ。107円台の定着にはインフレ率の高進などのポジティブな材料が必要なのだろう。その意味で13日の2月米消費者物価指数(CPI)が注目されるが、前月比で鈍化が予想されており、予想通りであればドル売りにつながりそうだ。逆に、予想を上回る上昇であれば、ドル買いにつながるだろう。

今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げがほぼ確実視されているため、CPIの上昇は3月以降の利上げも連想されるため、ドル買いにつながるだろう。

*CFTC建玉3月6日時点:ファンドのドル買い・円売りは8万6845枚(前週比-9806枚)と減少。総取組高は27万7327枚と前週比1万4261枚の減少。

<主なイベント・経済指標>
*12日は米国2月財政収支、13日はペンシルバニア州南西部18区連邦下院補欠選挙、米国2月消費者物価指数、14日は米2月生産者物価指数、15日は3月NY連銀製造業景気指数、3月フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数、16日は2月米住宅着工件数、3月ミシガン大学消費者信頼感指数。

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*予想レンジ:105.50円~108.00円


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