【メキシコペソ円、先週の動き・今週の予想】
*先週のメキシコペソ円は大幅上昇した。米中貿易摩擦を巡る懸念が和らいだことが好感された。米国が北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で一段と建設的な姿勢を示す可能性があるとの期待も広がり、メキシコペソは対ドルで半年ぶりの高値をつけた。

28日、米国、カナダ、メキシコによる北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉について米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表は、「早期に原則合意できる」との見通しを示した。ライトハイザー氏は、NAFTA再交渉について「進展していると思う。選挙などの関係で交渉期間は短く、3カ国とも交渉を進めたい意向だろう」と発言。その上で「決着と妥協を図るための真の努力がなされるなら、近く何らかの形で原則合意できると楽観視している」と語った。

一方でカナダのスティーブ・フェルヘール首席交渉官は「多くの宿題」が残されていると指摘し、慎重な姿勢を崩さなかった。メキシコで大統領選挙が行われる7月1日より前に再交渉をまとめる必要があるため、米国は再交渉のペースを加速させたいようだ。

*今週のメキシコペソ円は、上値が重くなりそうだ。先週は、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で、米国が前向きな姿勢を見せたことで、メキシコペソは大幅上昇となったが、週明けは、一転して米メキシコ関係が悪化しそうな雰囲気になている。

トランプ米大統領は1日、メキシコとの国境付近は一段と危険になっているとして、幼少期に親と米国に不法入国した若者「ドリーマー」の強制送還を猶予し、滞在資格を与える「DACA」プログラムを終了すると宣言した。 また、米国がメキシコ、カナダと再交渉を進めている北米自由貿易協定(NAFTA)の破棄もちらつかせた。ツイッターで、メキシコは人々が国境を越えて米国に入るのを防ぐのに、ほとんど何の手立ても講じていないと非難した上で、「メキシコは薬物を防ぎ、移民の流れを阻止すべきで、そうしなければ私がメキシコの資金源であるNAFTAを絶つ」と宣言。メキシコとの国境に壁を建設する必要性にもあらためて言及した。

これに対し、今年7月のメキシコ大統領選で最有力候補とされるロペス・オブラドール氏は、米国との国境に近いシウダー・フアレスで選挙戦を開始した。オブラドール氏は数千人の支持者を前に演説し、NAFTAの破棄やメキシコ国境への壁の建設に再び言及したトランプ大統領に反論するとともに、メキシコ国民に敬意を払うよう求めた。同氏は「メキシコとその国民はいかなる外国政府のピニャータ(くす玉人形)にもならない」と述べた。また、自身が7月1日の大統領選で勝利した場合、現与党の「制度的革命党(PRI)」ほどトランプ政権に寛容な姿勢は取らないとの考えを示した。

メキシコ、米、カナダが再交渉を進めているNAFTAについては、支持する方針をあらためて確認したものの、再交渉は大統領選が終わるまで中断すべきと主張。再交渉では、賃金格差と移民の問題を解消すべきとした。


【メキシコペソ経済指標】
4月2日月
23:30 3月製造業PMI 前回51.6  予想52

4月3日火
22:00メキシコ3月景況感 前回50.5  予想50.8

4月4日水
22:00 3月消費者信頼感 前回85.0  予想86

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*予想レンジ:5.70円~5.90円


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