4月16日(月)
【4月13日の海外相場および市況】
ny0416

*週末13日のNY外国為替市場は、米国によるシリア攻撃への懸念が再燃したことで円が買い戻され、ドル円は107円台前半に下落した。トランプ大統領がシリア情勢をめぐり「大きな決断」を下す期限としていた48時間が11日に経過したことで、その後はシリア攻撃への懸念がひとまず後退し、ドル円は一時107円78銭まで上昇していた。しかし、その後開かれた国連安全保障理事会の公開会合では、シリアへの軍事行動を正当化する米国に対し、ロシアはシリアへの攻撃は「国際法違反だ」と主張。両国の対立が改めて浮き彫りとなったため、円を買い戻す動きが強まった。また、NYダウが下げ幅を拡大したこともドル売りを促した。一方、ボストン連銀のローゼングレン総裁はこの日の講演で、今年4回の利上げが適切との見方を示したが、市場への反応は限定的だった。CFTC建玉4月10日時点:ファンドのドル売り・円買いは2761枚(前週比-811枚)とわずかに減少。総取組高は15万1202枚と前週比2384枚の増加。

*トランプ米大統領は13日夜(日本時間14日午前)、シリアのアサド政権が同国の首都ダマスカス近郊・東グータ地区で化学兵器を使用したと断定し、米軍に化学兵器関連施設への精密攻撃を命じた。英国、フランスとともに米東部時間午後9時から複数の施設に対する攻撃を実施した。化学兵器使用を理由にした同政権への攻撃は昨年4月に次ぎ2回目となる。米英仏3カ国による攻撃は限定的で、シリアでの長年にわたる内戦の勢力図に直ちに影響を与えることはない見通し。ヘイリー米国連大使は米国のシリアへの関与が終わらない可能性を指摘。シリアが化学兵器の使用を続ければ、同国を再び罰する用意があると語った。米国防総省によると、シリア攻撃では3つの標的に105発のミサイルが発射され、アサド政権の化学兵器使用の能力が大幅に低下した。ロシアのプーチン大統領は、空爆が「テロとの戦いの最前線にいる主権国家に対する侵略行為」であり、「国際法違反だ」と述べた。米国防総省は14日、シリア攻撃について、シリア軍やロシアからの本格的な反撃もなく、アサド政権が化学兵器を再度使用する能力を後退させたと発表した。トランプ大統領は攻撃の成果に関して「任務は完了した」とツイート。攻撃が「完璧に実行された」と述べた。週明けの東京市場は107円台半ば推移している。

*週末13日のNY金は、トランプ政権が近くシリア攻撃に踏み切る可能性が警戒されて、安全資産として買われた。サンダース米大統領報道官は12日、トランプ氏が国家安全保障会議(NSC)を開催し、化学兵器使用疑惑が浮上したシリアへの対応を検討したものの、「最終的な決断は下されなかった」と発表。この日に国連安全保障理事会が開いた公開会合でも、軍事行動の正当化を主張する米国と、シリア・アサド政権を支えるロシアとの溝は埋まらず、市場ではこの週末にも米英仏が軍事行動に踏み切るのではないかと警戒感が広がった。米中通商問題をめぐる先行き不透明感なども加わって、じりじりと上げ幅を拡大した。CFTC建玉4月10日時点:ファンドの金買い越しは15万5372枚(前週比-1万1217枚)と減少。総取組高は49万9588枚と前週比6447枚の増加。

*週末13日のNY白金は反落。金堅調につれ高となる場面も見られたが、株安を受けて戻りを売られた。CFTC建玉4月10日時点:ファンドの白金買い越しは1万9000枚(前週比-4743枚)と減少。総取組高は7万6230枚と前週比473枚の増加。

*週末13日のNY原油は、シリア情勢に対する根強い警戒感や需給引き締まり観測などを背景に買われ、5日続伸した。シリアでの化学兵器使用疑惑をめぐり、米国などが近く軍事行動に踏み切る可能性が依然消えておらず、地政学的リスクから原油が買われた。また、石油輸出国機構(OPEC)が前日に公表した月報で、OPECの3月の原油生産量が前月から日量20万1000バレル減少し、世界の過剰な原油在庫は解消に近づいているとの見方を示したことも好感された。このほか、OPECのバーキンド事務局長が12日、ロイター通信に対し、世界的な在庫過剰状態は9月までに解消するとの見方を示す一方、OPECを中心とする産油国は2019年も減産を継続するとの見通しを明らかにしたことも支援材料。石油輸出国機構(OPEC)が12日発表した3月の加盟国の産油量は、前月比20万1000バレル減の日量3196万バレルだった。バーキンド事務局長は、世界的な供給過剰が9月までに解消する見通しであるものの、OPECを中心とした産油国が来年も減産を継続する見込みだと語った。国際エネルギー機関(IEA)は13日、供給抑制が続けば市場が過度に引き締まる可能性もあると指摘した。2015年3月以来の高水準となった。ただ、週末とあって利益確定売りが出やすかった上、最新週の国内石油掘削リグ稼働数が前週比7基増の計815基と2015年3月以来の高水準となったことから、相場の上値は重たかった。CFTC建玉4月10日時点:ファンドの原油買い越しは70万7080枚(前週比+7535枚)と増加。総取組高248万0033枚と前週比6万7304枚の減少。

*週末13日のシカゴトウモロコシは反落。テクニカルな売りに押されたほか、小麦・大豆相場の下落に連れ安となった。一方、米作付け開始の遅れへの懸念が支援要因となった。サウスダコタ州とネブラスカ州では14日にかけて悪天候に見舞われ、トウモロコシと小麦の作付けの遅れから、生産者が大豆作付けに切り替える可能性がある。トランプ政権がエタノール15%混入のガソリン販売を認可するとの報道も好感された。CFTC建玉4月10日時点:ファンドのトウモロコシ買い越しは38万2304枚(前週比+1万4987枚)と増加。総取組高は188万2013
枚と前週比1万6076枚の増加。

*週末13日のシカゴ大豆は利食い売りに反落。米国産大豆への輸出需要は堅調なものの、大豆最大の輸入国である中国との貿易摩擦に対する懸念が続いている。CFTC建玉4月10日時点:ファンドの大豆買い越しは21万0265枚(前週比-196枚)と減少。総取組高は93万6447枚と前週比3万0230枚の増加。

*週末13日のNYダウは、米中貿易摩擦やシリア情勢への警戒が続く中、利益確定売りが優勢となり反落した。13日早朝に米主要企業の先陣を切って金融大手3社が1~3月期決算を発表。大手金融機関の良好な内容を受けて、ダウは160ドル余り上昇した。ただ、その買いの勢いは続かず、ダウは上げ幅を急速に縮小し、マイナス圏に沈んだ。米主要企業の1~3月期決算の発表は来週以降、佳境を迎える。調査会社トムソン・ロイターによると、主要企業の純利益は18%増と7年ぶりの好業績が見込まれる。米企業の業績は好調だが、株価の本格上昇につながるかは不透明なシリア情勢や米中貿易摩擦の展開次第で下落する可能性もあり、市場の懸念は払拭されていない。


【16日の経済指標】
16:00 (トルコ) 1月失業率 10.4%
21:30 (米) 3月小売売上高 (前月比) -0.1% +0.3%
   (米) 3月小売売上高 (前月比:除自動車) +0.2% +0.2%
21:30 (米) 4月NY連銀製造業景況指数 22.50 19.60
23:00 (米) 2月企業在庫 (前月比) +0.6% +0.6%
23:00 (米) 4月NAHB住宅市場指数 70 70
29:00 (米) 2月対米証券投資 +621億USD


第161回 『おしえて陳さん』 
http://www.sunward-t.co.jp/movies/oshiete/