【ドル円相場、今週の展望】
*今週のドル円は保ち合いながらも上値が重くなりそうだ。先週は、米10年債利回りが3%台へ上昇したことや日本企業による海外企業の大型買収案件を反映して一時110円台に達したものの、そこからは売りが優勢となり反落に転じている。

4月に公表された為替報告書では、日本は中国と共に監視対象国リストにされている。日本に対しては、「実質実効レート」と「名目レート」の両方で円安と批判している。このため、110円を越える水準では、米国から通貨安との批判を招く可能性があるとの見方が強まりそうだ。

6月には日米通商協議が開催されるが、日本に対する貿易不均衡是正が次第に強まることが警戒されるため、為替市場でも円安が警戒されてくる可能性がある。

先週、シリア国内に展開するイランの革命防衛隊が、ゴラン高原を占領するイスラエル軍拠点をロケット弾で攻撃した。これに対してイスラエル軍はシリア領内のイランの軍事拠点数十カ所を報復攻撃した。また、イスラエルは13日、1967年の第3次中東戦争で東エルサレムを制圧したことを記念する「エルサレムの日」を迎えた。

イスラエル建国70周年に合わせて、米国は14日、在イスラエル米大使館をエルサレムに移転するため、緊張が高まっている。東エルサレムを首都とする国家樹立を目指しているパレスチナの反発は強く、14日を「怒りの日」と定め、パレスチナ全土で抗議デモを行った。中東での地政学リスクが高まる懸念があり、安全通貨である円が買われる可能性がある。

米中通商協議も注目されよう。3、4日の米中通商協議では、米国側が2000億ドルの対米貿易黒字の削減を要請し、1500億ドルの関税引き上げも示唆していることで不調に終わったが、今週の米中通商協議も難航するならドルの上値を抑えそうだ。

一方、日本企業による海外企業の大型買収案件はドルの下値をサポートしよう。武田薬品工業に続いて、リクルートホールディングスは、米国のグラスドア社を12億ドルで買収すると発表した。

*CFTC建玉5月8日時点:ファンドのドル買い・円売りは5462枚(前週比+4057枚)と増加。総取組高は15万7576枚と前週比2761枚の減少。ファンドがドル買いポジションを増やしてきており、この傾向が続くかどうか注目される。


<主なイベント・経済指標>
15日は5月NY連銀製造業景気指数、16日は4月米住宅着工件数、4月米鉱工業生産、17日はフィラデルフィア連銀景況指数、米新規失業保険申請件数、4月米景気先行指標総合指数など。


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*予想レンジ:108.50円~110.20円


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