【東京金は4600円を軸にしたレンジで中段保ち合いを形成か】    

*先週のNY金は底堅く推移した。5月2日に終了した米連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想通り政策金利を据え置いたものの、6月の会合での利上げが示唆された。米長期金利が3.0%台に乗せ、利子を産まない金にはプレッシャーとなった。トランプ大統領は9日、イラン核合意からの離脱と「最高レベル」での対イラン経済制裁を再開する方針を表明した。

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中東の緊張を高めるとして警戒されたが、イランはアメリカを除く欧州など主要5カ国との核合意に残留する意向を示し、軍事的緊張が急激に高まる可能性は小さいと見られ、地政学リスクは後退した。10日に発表された4月米消費者物価指数(CPI)は前月比0.2%上昇と市場予想の0.3%上昇を下回り、コア指数も0.1%上昇と予想の0.2%上昇を下回った。インフレ率の低下を背景に金は買い戻された。

また、イスラエル軍は、イランがシリア領内からイスラエルに向けてロケット弾を発射したことに対し、報復としてシリアにあるイラン精鋭部隊「革命防衛隊」の軍事拠点を空爆。イスラエルとイランが本格的な軍事衝突に発展するのではないかとの懸念が強まったことも強材料となり、金を押し上げた。NY金は下値サポートラインである1300ドルに接近した。金利上昇を受けて金ETFも減少しており、地合いは悪化しているようだ。イスラエルの米大使館をエルサレムに移転したことで、中東情勢の緊張がさらに高まる懸念があり、金の下値を支えよう。

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*NY金予想レンジ=1285~1330ドル

*CFTC建玉5月8日時点:ファンドの金買い越しは10万7440枚(前週比+661枚)と増加。総取組高は49万1398枚と前週比1万6358枚の減少。

*米長期金利上昇が3.0%台に乗せ、金利先高見通しも強い中、為替市場ではドル高基調が強まっている。ドル円は110円を回復する場面があり、ドル指数は5ヶ月ぶりの高値を示現している。ドル高によりドル建て金は割高感が強まるため、NY金は下落する傾向があるが、東京金は円安が下値をサポートする格好になる。

NY金がレンジの下限である1300ドルに接近したが、東京金は4600円台で保ち合いとなった。テクニカル的には、年初来高値の4793円と年初来安値の4438円の半値が4620円なので、中段保ち合いを形成しているといえようか。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、利上げがほぼ確実視されているため、ドル高(円安)基調が続くことが予想されるため、東京金は底堅く推移しよう。

上値を目指す要因としては、やはり中東情勢だろう。米国のイラン核合意からの離脱、イスラエルの米国大使館のエルサレム移転、イスラエルとイランの軍事衝突等、地政学リスクが収まる気配は小さい。それに伴い原油相場が上昇となれば、商品市況の上昇を招き、インフレ懸念から金が買われるといった展開も想定されよう。

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*東京金予想レンジ:4580~4660円。


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